<人格障害>の種類


 

種類・名称

行動の内容

妄想性人格障害


●他人の動機を悪意あるものと解釈するなど広範な不信と疑い深さを持つ。以下のうち4つに
当てはまることによって確認される。

1)十分な根拠もないのに、他人が利用する、危害を加える、だまされるという疑いを持つ。
2)友人または仲間の誠実さや信頼を不当に疑い、それに心を奪われる。
3)情報が自分に不利に用いられているという根拠のない恐れのために、他人に秘密を
打ち明けたがらない。
4)悪意のない言葉や出来事の中に、自分をけなす、脅す意味が隠されていると読む。
5)恨みを抱き続ける。つまり、侮辱されたこと、傷つけられたこと、軽蔑されたことを許さない。
6)自分の性格または評判に対して他人にはわからないような攻撃を感じ取り、すぐに怒る。
7)配偶者または性的伴侶の貞節に対して、繰り返し道理の合わない疑念を持つ。

分裂病質人格障害


●社会的関係からの遊離、対人関係状況での感情表現の範囲を限定などの広範な様式で
成人期早期から始まり種種の状況であきらかになる。以下のうち4つによって示される。

1)家族の一員であることを含めて、親密な関係を持ちたいと思わない。それを楽しく感じない。
2)ほとんどいつも孤立した行動を選択する。
3)他人と性体験をしたいといった興味は無いか、少ししかない。
4)喜びを感じられるような活動が無いか、少ししかない。
5)親兄弟以外に、親しい友人や信頼できる友人がいない。
6)他人の賞賛や批判に対して無関心に見える。
7)情緒的な冷たさ・よそよそしさ。または平板な感情。

分裂病型人格障害


●親密な関係で急に気楽でなくなることと、そうした関係を持つ能力の現象、および認知的
または知覚的歪曲と行動の奇妙さなどの目立った社会的および対人関係的な欠陥の広範
な様式で成人期早期に始まり、種種の状況で明らかになる。以下のうち5つによって確定。

1)関係念慮(関係妄想は含まない)
2)行動に影響し、下位文化的規範にあわない奇異な信念、または魔術的思考(例:迷信
深さ、千里眼、テレパシー、第六感を信じる、小児・青年では奇異な空想または思いこみ)
3)普通でない知覚体験、身体的体験も含む。
4)奇異な考え方と話し方。
5)疑い深さ、または妄想様観念。
6)不適切な、または限定された感情。
7)奇異、奇妙な、または特異な行動または外見。
8)第1度親族以外には、親しい友人または信頼できる人がいない。
9)過剰な社会不安があり、それは慣れによって軽減せず、また自己卑下的な判断よりも
妄想的恐怖を伴う傾向がある。

境界性人格障害


●対人関係、自己像、感情の不安定、および著しい衝動性の広範な様式で、成人期早期に
始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち5つによって示される。

1)現実に、または想像の中で見捨てられることを避けようとする気違いじみた努力。
2)理想化とこき下ろしとの両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる不安定で激しい
対人関係様式。(1時間前までほめちぎっていた人を1時間後あいつは人間のクズだとけなす)
3)同一障害。著明で持続的な不安定な自己像または自己感。
4)自己を傷つける可能性のある衝動性で、少なくとも2つの領域に渡るもの。(例:浪費、
性行為、物質乱用、無謀な運転、むちゃ食い等)
5)自殺の行動、そぶり、脅し、または自傷行為の繰り返し。
6)顕著な気分反応性による感情不安定性(通常は2〜3時間単位で気分が変わる。2〜3
日以上同じ感情を維持するのはまれ。エピソード的に起こる強い不快気分、いらいら、不安)
7)慢性的な虚無感。
8)不適切で激しい怒り。または怒りの制御の困難。(例:しばしばカンシャクを起こす。
いつも怒っている。とっくみあいの喧嘩を繰り返す)
9)一過性ストレス関連性の妄想様観念。または重篤な解離性症状。

自己愛性人格障害


●誇大性(空想または行動における)、賞賛されたいという欲求、共感の欠如の広範な様式で、成人早期に
始まることが多い。以下のうち5つ(またはそれ以上)で示される。

1)自己の重要性に関する誇大な感覚(例:業績や才能を誇張する、十分な業績がないにもかかわらず
優れていると認められることを期待する)
2)限りない成功、権力、才気、美しさ、あるいは理想的な愛の空想にとらわれている。
3)自分が特別であり、独特であり、他の特別なまたは地位の高い人達に(または施設で)しか理解できない。
または関係あるべきだと信じている。
4)過剰な賞賛を求める。
5)特権意識つまり特別有利な取り計らい、または自分の期待に自動的に従うことを理由なく期待する。
6)対人関係で相手を不当に利用する。つまり自分自身の目的を達するために他人を利用する。
7)共感の欠如。他人の気持ち、および欲求を認識しようとしない。またそれに気づこうとしない。
8)しばしば他人に嫉妬する。または他人が自分に嫉妬していると思いこむ。
9)尊大で傲慢な行動、または態度。

演技性人格障害


●過度な情緒性と人の注意を引こうとする広範な様式で、成人早期に始まり、種々の状況で明らかになる。
以下のうち5つ(またはそれ以上)で示される。

1)自分が注目の中心になっていないと楽しくない。
2)他者との交流は、しばしば不適切なほど、性的に誘惑的な、または挑発的な行動によって特徴づけられる。
3)浅薄ですばやく変化する感情表出を示す。
4)自分への関心を引くために絶えず身体的な外見を用いる。
5)過度に印象的だが内容の詳細がない話し方をする。
6)自己演劇化。芝居がかった態度、誇張した情緒表現を示す。
7)被暗示的、つまり他人または環境の影響を受けやすい。
8)対人関係を、実際以上に親密なものと見なす。

反社会性人格障害
(松本・旧麻原被告)


●他人の権利を無視し侵害する広範な様式で、15歳以来起こっており、以下のうち3つ
(またはそれ以上)によって示される。

1)法にかなう行動という点で社会的規範に適合しないこと。これは逮捕の原因となる行為を繰り返し
行うことで示される。
2)人をだます傾向。自分の利益や快楽のために嘘をつくこと、偽名を使うこと、または人をだますこと
を繰り返すことによって示される。
3)衝動性または将来の計画を立てられないこと。
4)易怒性および攻撃性。身体的な喧嘩または暴力をくりかええすことによって示される。
5)自分または他人の安全を考えない向こう見ずさ。
6)一貫して無責任であること。仕事を安定して続けられない。または、経済的な義務を果たさない
ということを繰り返すことによって示される。
7)良心の呵責の欠如。他人を傷つけたり、いじめたり、また他人のものを盗んだりしたことに無関心で
あったり、それを正当化することによって示される。

●患者は少なくとも18歳であること。
●15歳以前、行為障害の発症の証拠がある。
●反社会的な行為が起きるのは、精神分裂病や躁病エピソードの経過中のみではない。

回避性人格障害


●社会的制止、不適切感、および否定的評価に対する過敏性の広範な様式で、成人期早期に始まり、
種々の状況で明らかになる。以下のうち4つ(またはそれ以上)で示される。

1)批判、否認または拒絶に対する恐怖のために、重要な対人接触のある職業的活動を避ける。
2)好かれていると確信しなければ、人との関係を持ちたいと思わない。
3)恥をかかされること、馬鹿にされることを恐れるために、親密な関係の中でも遠慮を示す。
4)社会的状況では、批判的、拒絶されることに心がとらわれている。
5)不適切感のために、新しい対人関係状況で制止が起こる。
6)自分は社会的に不適切である。人間として長所がない。他の人より劣っていると思っている。
7)恥ずかしいことになるかもしれないという理由で、個人的な危険をおかすこと、
または何か新しい活動に取りかかることに、異常なほど引っ込み思案である

依存性人格障害


●世話をされたいという広範で過剰な欲求があり、そのために従属的でしがみつく行動をとり、分離に対する不安を感じる。成人期早期に始まり、種々の状況であきらかになる。以下のうち5つ(またはそれ以上)で示される。

1)日常のことを決めるにも、他の人達からのありあまるほどの助言と保証がなければできない。
2)自分の生活のほとんどの主要な領域で、他人に責任を取ってもらうことを必要とする。
3)支持または是認を失うことを恐れるために、他人の意見に反対を表明することが困難である。
(注:罰に対する恐怖は含めないこと)
4)自分自身の考えで計画を始めたり、物事を行うことが困難である。
5)他人からの愛育および支持を得るためにやりすぎて、不快なことまで自分から進んでやるほどである。
6)自分で自身を世話することができないという誇張された恐怖のために、一人になると不安または無力感
を感じる。
7)親密な関係が終わったときに、自分を世話し支えてくれるもとになる別の関係を必死で求める。
8)自分が世話をされずに放っておかれるという恐怖を、非現実的にまで持っている。

強迫性人格障害


●秩序、完全主義、精神面および対人関係の統制にとらわれ、柔軟性、開放性、効率性が犠牲にされる。
成人早期に始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち4つ(またはそれ以上)で示される。

1)活動の主要点が見失われるまでに、細目、規制、一覧表、順序、構成、予定表にしばられる。
2)課題の達成を妨げるような完全主義を示す。(例:自分自身の過度に厳密な基準が満たされない
という理由で1つの計画を完成させることができない)
3)娯楽や友人関係を犠牲にしてまで仕事と生産性に過剰にのめりこむ。(明白な経済的必要性はない)
4)道徳、倫理、価値観についての事柄に、過度に誠実で良心的かつ融通がきかない。
5)感傷的な意味のない物の場合でも、使い古した、または価値のないものを捨てることができない。
6)他人が自分のやるやり方に従わない限り、仕事をまかせることができない。また一緒に仕事を
することができない。
7)自分のためにも他人のためにも、ケチなお金の使い方をする。お金は将来の破局に備えて貯めるべきだ
という歪んだ信念を持っている。
8)堅さと頑固さを示す。

特定不能の人格障害


●このカテゴリーは、特定の人格障害の基準を満たさない人格機能の障害のためのものである。
その例として、2つ以上の人格障害の特徴をもつが、どの人格障害の基準も完全には満たしておらず
(混合性人格)、しかしそれらが一緒になって、臨床的に著しい苦痛、または1つ以上の重要な機能領域に
おける(社会的、職業的)障害を引き起こしている場合である。このカテゴリーもまた、臨床家が分類に
ふくまれているか、ある特定の人格障害を用いることが適切であると判断した場合にも使用することができる。
そうした例として、抑うつ性人格障害および受動攻撃性人格障害があげられる。

 


 参考資料:「DSM-IV 精神疾患の分類と診断の手引き」(医学書院) 「彼女はなぜ人を殺したのか」(福島章:講談社)
 「犯罪者ハンドブック」(福島章:新書館)


Music 「Tea For Two」 by Oscar Peterson