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| 過精密 かせいみつ acribology | ||||||||||||||||
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| ――「すなぼし」 『ひとひら よしづきくみち作品集』48ページ所収 (よしづきくみち/ジャイブ CR COMICS) |
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| 過精密は、ふつう考えられないほど細かいところまで写しとるというものです。 | |||||
| 「やたらと」細かい数をつかう。そのばあい、人間は「何かヘンなことを言われた」という感じをもちます。ですが、「やたらと」細かいというレベルを超えて、「ありえないほど」細かい数を使われたら。そのばあい、「あ、この人は冗談を言っているんだな」と考えるはずです。そうやって、「書き手=話し手」もしくは「読み手=聞き手」が両方とも「それはヘンだ」という気持ちをもつこと。それが「過精密」です。このばあいには、ことばの遊びを目ざしているものになります。 | |||||
| ことばの使い手と受け手とが、「冗談だ」という気持ちを一緒に感じたとき。いいかえれば、両者ともが「遊びとしてことばを使っている」という思いをもったとき。そこには「笑い」の効果が生まれてきます。 | |||||
| 人が「数」を伝えるとき。それは厳密ではないことも、たくさんあります。お米を買うときに「コメを○○粒買います」というのは、明らかに現実ばなれしています。ですが、そういった「ありえないほど」細かい言いまわしをすることがあります。それが、「過精密」です。 | |||||
| 「過精密」は、常識外れの現実にあり得ない言いまわしになってなければなりません。というのは、もしも受け手の側で「本気で言っている」と思われたら、「過精密」は失敗になってしまうからです。つまり、「笑いの効果を狙っている」ということが分かってもらえないことになってしまうからです。 | |||||
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| 引用は、「すなぼし」からです。(『ひとひら よしづきくみち作品集』所収) 主人公は、京太。 京太は、2人で天文部の活動をしていた。もう1人の部員は、姫織(ひおり)という女の子。 …と書いたんだけれども。この短編では、1ページ目から「廃部になった」ということが語られる。なぜかというと、姫織(ひおり)が天文部の活動中に、天文台から転落して死んでしまったから。 それから。京太は、姫織(ひおり)の使っていた双眼鏡で、天体観測をするようになった。つまり双眼鏡が、「かたみ」のような役を果たしていたというわけ。 そのように、1人になりながらも天体観測を続けていた。だけれども京太は、ある日「その双眼鏡」を落としてしまった。双眼鏡は、姫織(ひおり)との思い出をつなぐ、「かたみ」のようなものだったはず。なので当然ながら、ひどく悲しんだ。 すると、次の朝。京太の目の前に、姫織(ひおり)だとしか思えないヒトがあらわれる。ただし、「双眼鏡」をかけているけれども。 で、引用のシーン。姫織(ひおり)っぽい女の子は、つぎのように語る。 えーっと 生後条件に、みごとに当てはまったとき。双眼鏡の持ち主があらわれる、と。 だけれども。 こんな「15万9432時間49分」なんていうのは、あまりに細かすぎるのです。つまり、まるで現実感がない。 そう。たしかに現実感がない。テキトーな数を言ったとしか思えない。だけれども、その「現実感のなさ」が、「過精密」を生みだすことになるのです。 テキトーに言ったに過ぎないと、京太は思う。本の読者も、そのように考える。それでこそ、「過精密」となるのです。 なお、この場面では。姫織(ひおり)が現れたことについては、ホントのことを言わない。もしくは、言うことができない。そのため「過精密」を使うことで、言い逃れていると考えることもできます。 |
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引用したシーンで使われている「時間」。それは、
15万9432時間49分というものでした。 この時間を、もうすこし分かりやすくしてみる。すると、 18年73日49分となりました。 で。 ここに書いておきたいのは、 15万9432時間49分という言いまわしのほうが、ずっと「ウソっぽい」ということです。「15万9432時間49分」と「18年73日49分」とは、同じ時間の長さをあらわしているハズです。なのにもかかわらず、「15万9432時間49分」のほうが、ウサンくさい。 ですが。 そういった、「ウサンくさい」という感じをすることが。この「過精密」が成功するかどうかの、大きな基準となるわけです。話し相手に「真剣に言っているのではない」ということが伝わらないかぎり、うまく「過精密」が成りたたないのです。 |
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| 過精密 | |||||
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| 誇張法、過大誇張法、過小誇張法、無理誇張、誇大語調、緩叙法(広義の)、虚言、極言、印象強調、過小言辞、類義区別、感嘆法 | |||
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| 「過精密」について、かなりの説明が書いてあります。これほど細かく書いてある本は、ほかに見たことがありません。…というか困ったことに、「過精密」とか「acribology」というレトリック用語は、googleで検索しても出てこないのです。出てきたのは、ウチのサイトのほか2~3件というところでしょう。なので、この本は「過精密」の解説をしてある文献として外すことのできないものです。 | |||
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