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首句反復 しゅくはんぷく anaphora
――『藍より青し』1巻167ページ(文月晃/白泉社 JET COMICS) 思えば私…
薫さまに迷惑かけて
ばかり…

勝手に逢いに行って
勝手に押し掛けて

勝手に呼び出して
――『藍より青し』1巻167ページ
(文月晃/白泉社 JET COMICS)

 《定義》

首句反復は、前の文の最初にあることばを、次の文の最初でもう一度くり返すレトリックです。
つまり、先行する文の文頭で用いられた語句を、次の文の文頭でふたたび使う技法です。ちょうど、「結句反復」と逆のものになります。

同じ言葉が波のように繰り返されるので、リズミカルな効果があります。また、その言葉を強調することにもなります。

この「首句反復」は、「首語反復」ともいいます。



 《例文を見る》

引用は『藍より青し』1巻からです。このタイトルは、「あいよりあおし」と読みます。

主人公は、大学生の「花菱薫」。

彼のもとに突然現れたのが、「桜庭葵」という女の子。彼女は清楚な美少女。しかも、「薫」のことを想いつづけていた「許嫁」だという。

しかし「葵」は、なんと財閥の娘。なので時に、「世間知らず」な一面を見せる。
引用したシーンは、そんな場面の1つ。

彼女は、乗り換えるための駅(たぶん池袋駅)で、迷子になってしまう。そこで、公衆電話から「薫」に助けを求めた。
そんな自分を考えて落ち込んでいるのが、問題の部分。
勝手に逢いに行って
勝手に押し掛けて

勝手に呼び出して
というように、「勝手に~」という言葉が、それぞれの文のはじめにくり返されています。ここを「首句反復」と考えます。

なお、以下には「蛇足」が4つほどならんでいます。興味のあるところは読んでみてください。


 【蛇足1.『藍より青し』の舞台】

この『藍より青し』の舞台は、たぶん「東武東上線」の沿線をモデルにしているように思います。

さきほど書いた、「葵」が迷った駅は「東武東上線」の始発駅にあたる「池袋駅」みたいだし。
走っている電車は、東武の車両っぽいし。
「薫」の家(アパートの部屋)は新座市にあるようだし。

そういうわけで、「東武東上線」の沿線が舞台だと思われます。


 【蛇足2.タイトルのことわざ】

書くまでもないとは思います。ですが念のために書いておくと、この『藍より青し』というタイトルは「青は藍より出でて藍より青し」という「成句」からとられたものです。つまり、「暗示引用」ということになります。

ちなみにもともとは、荀子の言葉です。



 《レトリックを深く知る》


 【1.「首句反復」が使われる多さ】

「首句反復」は、あまり多くは使われていないという指摘があります。

つまり、『文章読本 改版』(丸谷才一/中央公論社)の書くところによれば、
これもまた、あまりに詩的な雄弁になりがちなせいか、それとも翻訳臭を嫌ってか、現代日本の散文では敬遠される口である。
とのことです。つまり、「首句反復」は色々な場面で見かけるレトリックではない、ということになります。

ですが。
こういった、ただ言葉を反復するだけのレトリックは。コミックスの中では、ずいぶん見かけるという印象をもっています。
ただ単純に、ことばをくり返すだけ。なので、強調したいことを手軽に伝えることができるからだと思います。

このことは、この「首句反復」だけでなく、「結句反復」などについても言えるでしょう。


 【2.「首句反復」が好きなアニメ】

少し(かなり?)前に放送していた、アニメ『スクールランブル』。その各話のタイトルには、「首句反復」が多い。というか、「レトリック」と言うことができるものが多い。

「首句反復」のものを探してみると、
第5話 燃える初恋!
      燃えるお茶会!
        燃えるソフトボール!

第8話 はじめてのお買い物!
      はじめてのお弁当!
       はじめての失恋!え?
他にも第10話のタイトル、第16話のタイトルなどなど。「首句反復」が、本当にたくさん使われています。たまに「脚韻」とかも出てきます。
くわしくは、
アニメ『スクールランブル』のページ] byテレビ東京
をご覧ください。タイトルで「レトリック」が色々と使われていることがわかります。


 【3.すこし変わった「首句反復」】

『R.O.D―READ OR DREAMS―』(倉田英之・綾永らん・スタジオオルフェ・アニプレックス/集英社 ヤングジャンプ・コミックス・ウルトラ)というマンガがあります。
マンガのほうは知らなくても、2004年にアニメを放送していたので、ご存じの方も多いかと思います。

簡単に説明しておくと、「ミシェール」「マギー」「アニタ」の三姉妹が探偵社をやっていて、いろいろな事件に出合う、というものです。

その『R.O.D』1巻74ページ。アニタが、家に山積みになっている本を「売り払う!」と言った時の会話。
未成年の「アニタ」は、本を売るためには成人の許可がいるということを言わる。そこで、マギーに許可をもらおうとするのだけれど、マギーは19歳ということに気がついたのが、引用のシーン。
ミシェール そうよっ
マギーちゃん
フケてるけど
まだ19歳だもの!」
アニタ あ… あう…」
19歳だって
身分証明書が
あれば!」
ミシェール ないわっ
マギーちゃん
無免許
無資格
無芸大食
だもの!」
アニタ うわっ
ダメ人間っ」
「無免許」なのと「無資格」なのは、「本を売る」ことの「許可」には関係しそうです。でも、「無芸大食」なのは、関係ないでしょう。
これなんか、「首句反復」を3回連続させるために、話題と関係ないことを言っているように思えます。

見方をかえると、これは短い「降移法」と考えることもできそうです。


 【4.「首句反復」の英語訳】

最後に書くのは、とてもまじめなレトリックの話です。

『レトリック事典』は、anaphoraという英語に対して、「同一語句反復」という日本語訳を示しています。

ですが私(サイト運営者)は、あくまでanaphoraは「首句反復」となるべきだと考えます。そして実際に、このページはその考えにもとづいてつくられています。

anaphoraは、とても参考資料の多い、ありがたいレトリック用語です。そのために、anaphoraを「首句反復」と定義する本は、手元に集まっているだけで十指に余ります。

このような現状のために、このサイトでは、anaphoraを「首句反復」として扱っていくことにします。
関連項目→連鎖法、連鎖漸層法、反復法畳句法畳語法隔語句反復復言法類義累積回帰反復結句反復首尾語句反復前辞反復おうむ返しトートロジー異義復言同綴同音異義類音語反復疑惑法継起的音喩倒置反復法交差配語法逆対句
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