TOPへ 50音順 使う目的別(作成中) 佐藤信夫『レトリック事典』の分類 中村明『日本語の文体・レトリック辞典』の分類
 
対照法 たいしょうほう antithesis
――『テニスの王子様』3巻99ページ(許斐剛/集英社 ジャンプ・コミックス)
秀一郎 英二
英二 」(タオルを渡す)
秀一郎 ほい」(飲み物を渡す)
英二 サーンキュ
カチロー おおー さすが
黄金コンビ
息あってるー!)
桃城 越前ー
それ取ってくれ
越前 それって 何?
桃城 お前の尻の
下にあるその
タオルだ!!
カチロー 息あってない…)
――『テニスの王子様』3巻99ページ
(許斐剛/集英社 ジャンプ・コミックス)

 《定義》

対照法
は、対立した表現を使ってコントラストをつくるレトリックです。
つまり、ことばや考えかたが対照となった関係におくものです。言いかえれば、対立する意味をもったことばや句、または文を対照的に配置するものです。別の言いかたをすれば、対照的な2つの物事を作品の中で対比させるレトリックです。

「対照法」は、ことばをお互いを際立たせ、引き立てることができます。またそれぞれの特徴を際ただせ、印象を深めるものものとなります。



 《例文を見る》

で、引用は『テニスの王子様』3巻から。

主人公は、越前リョーマ。高校でテニスをやっている。

彼は、ストリート・テニスで桃城先輩とダブルスを組んだ。けれどもそのとき、全くバラバラで協調性のない試合しかできなかった。そこで、地区予選では、「桃城・越前」のダブルスで戦うことにした。

同じチームの「黄金コンビ」と呼ばれているのが、「大石・菊丸」。彼らのほうは、さすが、息が合っている。
秀一郎 英二
英二 」(タオルを渡す)
秀一郎 ほい」(飲み物を渡す)
英二 サーンキュ
と、名前だけでタオルを渡す「菊丸」。それに対して、「取ってくれ」とかいう言葉をひとことも言っていないのに、飲み物を渡す「大石」。もう、見た目だけで息が合っています。

ひるがえって、「桃城・越前」のコンビは、息が全然合っていない。
桃城 越前ー
それ取ってくれ
越前 それって 何?
桃城 お前の尻の
下にあるその
タオルだ!!
と、見た目だけで、息が合っていないことがわかる。

この「息が合っている」コンビと、「息が合ってない」コンビ。この二つが対照的です。なので、「対照法」で使わせていただきました。「息が合っている」コンビと「息が合ってない」コンビという、意味の上での「シンメトリック」な点は見られるのです。


 【おまけ】

なお、「対照法」のことではないのですが。

桃城と越前が、ストリート・テニスでダブルスでの試合をする。だがしかし、チグハグで連携プレーをすることができずに負けてしまう。その負けた時、地区予選はダブルスで試合をすることを決意する。その時の言葉が、
やっぱ男は
ダブルスでしょう!! (3巻85ページ)
というものだった。

そして実際に地区予選の1回戦をダブルスで戦い、勝利をおさめる。その時の言葉も、
やっぱ男は……
ダブルスでしょう!! (3巻162ページ)
というものだった。このように、間をあけて同じような言葉をくり返されるものは、「照応法」というレトリックになります。その点について興味のある方は、そちらをご覧ください。



 《レトリックを深く知る》

「対照法」にかんする、細かい文をいくつか。


 【1.「対照法」の下位分類】

「対照法」の下位分類をならべてみると、次のレトリックが含まれます。
  • 倒置反復法:語順が「AB-BA」となっているもの。完全に語順が入れかわっている。
  • 交差配語法:語順が「AB-B’A’」となっているもの。不完全だけれども語順が入れかわっている。
  • 同形節反復:同じ長さの文がくり返されるレトリック(「平行体」に近い)
  • 平行体:同じパターンの文がくり返されるレトリック(「同形節反復」に近い)
  • 対偶法・対置法:
  • 対句:文章の形式と、使われている語句が対になっているレトリック
  • 逆対句:「倒置反復法」と「対句」を組み合わせたようなレトリック
  • 方便法:ある言葉が「きれい」であることを際立たせるため、近くに「きたない」言葉を用いるレトリック
  • 抑揚法:
くわしくは、それぞれのページをご参照下さい。


 【2.「対句」と「対照法」との関係】

対句」は、この「対照法」のうちの1つと位置づけることができます。

たしかにレトリックという学問を考え出したヨーロッパの人は、「対句」を知らなかったようです。ですので、「対句」にピッタリあてはまるレトリック用語はありません。ですが「対句」のもっている機能は、「対照法」のものと変わりません。ですので「対句」は、「対照法」のうちの下位分類とすることができます。


 【3.「対照法」の狭い意味と広い意味】

この「対照法」には、「広い意味での対照法」と「狭い意味での対照法」という、2つの種類があります。

広い意味での「対照法」は、ことばの長さについて考えます。つまり、言葉の長さが対称であることに注目するのが、広い意味での「対照法」です。
このレトリックには、「同形節反復」や「平行体」などが当てはまります。

これにたいして、狭い意味での「対照法」という用語は、言葉の内容が対称になっていることをいいます。狭い意味での「対照法」は、ことばの意味が対称であることに着目してものとなります。

いちばんさいしょに書いた「対照法」の定義は、狭い意味での「対照法」にもとづくものです。


 【4.「対照法」の説得力】

この「対照法」は表現が印象的で、説得力をもつものになります。そのため、「成句」や「警句」や「ことわざ」などにも多く使われます。たとえば、
  • 「聞いて極楽、見て地獄」
  • 「帯に短し、たすきに長し」
  • 「遠くの親戚より、近くの他人」
みたいに、いろいろあります。


 【5.「対照法」と哲学用語】

なお、英訳として書いてある「antithesis」という英語は、あくまでも「レトリック用語」の「アンチテーゼ」です。弁証法とかにでてくる、哲学用語としての「アンチテーゼ」とは、関係ありません。
関連項目→倒置反復法交差配語法同形節反復平行体、対偶法・対置法、対句逆対句方便法、抑揚法
このサイト全体からのサーチ
 
「使う目的別のページ」の中からサーチ
TOPへ 50音順 使う目的別(作成中) 佐藤信夫『レトリック事典』の分類 中村明『日本語の文体・レトリック辞典』の分類