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| 疑惑法 ぎわくほう aporia | ||||||||||||||||
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| ――『絶対彼氏。』2巻124~135ページ (渡瀬悠宇/小学館 少コミフラワーコミックス) |
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| 表現を選ぶのに迷う、というレトリックです。つまり、いろいろな表現をしてみるけれど、どれもが不十分だと思わずにはいられず、言いなおしながら多様な表現を並べるものです。 | |||||
| 自分は、どのように行動すればいいのか。もしくは、今の状況をどのように受けとめればいいのか。そういったこと考えて、「ためらったり」とか「迷ったり」していることを表現することができます。 | |||||
| どうすることもできなくなって、何もできなくなっている。そういった、困り果てたようすを示すこともできます。 | |||||
| こちらは。自分が置かれている今の状況に、なにか不自然なものを感じとっている。そういった、現状にたいする「疑い」をあらわしています。 | |||||
| ふつうであれば、それほどの「疑い」を感じないはずなのに。なにかの理由で、いつも以上に用心深くなっていることを表現できます。また、この「疑惑法」を使っているヒトが、もともと慎重なヒトだったり、ことによると優柔不断だったりするばいもあります。 | |||||
| 自分の考えたことを断定しないことによって、「疑惑法」を使うことができます。パターンとしては、文の最後に「ぼかす」ことばをつけるのが、いちばん典型的です。たとえば、「…だろうか」とか「…かもしれない」とかいったかたちで文を終わらせると、迷っていることをカンタンに表現できます。 | |||||
| これは、「…というよりも」「あるいは…」などの言葉を使うものです。いままで、なにか考えかたを示してきた。それなのにもかかわらず、その考えかたとは別の考えかた出してくる。このことによって結局、同じ状況にたいして2つの考えかたが並び立つことになります。これも「ためらい」を持たせる、ひとつの手段です。 | |||||
| これは、話のスタートの時点から、すでに迷っているというものです。たとえば、「どこから話し出したらいいか…」だとか「何を話したらいいか…」とかいったものです | |||||
| 「疑惑法」の英語名としてつけた「aporia(アポリア)」という用語。これについては、ちょっと書いておかなければならないことがあります。 たとえば『広辞苑』(岩波書店)を見ると、「アポリア」について、このように説明しています。
今、このページで紹介してしている「aporia(アポリア)」という英語名をつけた「疑惑法」というレトリック用語は、この2つのいずれにも当てはまらないものです。このページで紹介しているのは、あくまでもレトリック用語としての「aporia(アポリア)」です。アリストテレス以来の、哲学用語としての「aporia(アポリア)」とは異なるものです。 以上のことを、ご理解しておいてください。 |
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| で、引用は『絶対彼氏。』2巻から。 主人公は、女子高生の「リイコ」。 彼女は、怪しいセールスマンに出会う。そして、「欲しいものは?」と聞かれたときに、「彼氏!」と答える。 すると、等身大で人間そっくり、しかも美少年の「フィギュア」が送られてきた。 が。 その価格、なんと「一億円」。 「一億円」なんて、女子高生には無理。でも支払いは分割ということになって、「リイコ」はバイトを探すことになる。そして、「リイコ」が選んだバイト先で、「ソウシ」という男子高校生に出会う。 そこで「リイコ」は、だんだんと「ソウシ」のことを好きになっていく。そして、同じように「ソウシ」は「リイコ」のことが気になっていく。 だけれども、 「ソウシ」は「リイコ」のことが好きだけれども、想いをうちあけることができないでいるという状態。 そこで「ソウシ」は、そんな「リイコ」から 「好きなコは、どんなコ?」って質問された。そんなわけだから、とまどう。困ってしまう。 そして悩んだすえに口から出した言葉が、引用したシーンで「ソウシ」が話している部分。 いや。なんかつらいね。 目の前にいる女の子が好きなのに、その子は「すっごいニブい」。だから、いくら自分が想っていても、自分の気持ちには相手には伝わらない。 だからといって、ストレートに「好きです」と言うほどの勇気はない。結果として、しどろもどろの悩めるセリフになってしまったわけです。 そういえば。 渡瀬先生のコミックは、このサイトのいたるところで使わせております。この「疑惑法」のページのように長く引用してしまっているものもありますが、先生におかれましては、どうかご容赦下さいますよう。 |
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| このサイトでは。 いちおう「疑惑法」については、「反復法」の1つとしておきました。 たしかに「疑惑法」は、「同じような意味」のことばが連続しているというものではありません。また、「同じような発音」のことばが並んでいるというものでもありません。 ですが。ようするに「疑惑法」は、「あーでもない、こーでもない」というものです。つまり、「なにか」ことばが連なっていることは、たしかです。 そういったわけで。その他の「反復法」については、そちらを参照して下さい。 |
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| 「疑惑法」では、ことばを並べることになる。それにたいして「頓絶法」や「中断法」では、「……」と黙ってしまう。 たしかに見た目には、「疑惑法」と「頓絶法」「中断法」は、まったく反対のものに思われます。ですが、表面上では逆なのにも関わらず、その中身は近い関係にあります。 なぜならどれも、「言葉に迷っている」という点で共通しているからです。つまり、伝えたいことを、うまく言葉することができない時の「苦しまぎれ」である点が共通しているのですが。 |
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| それと。 「疑惑法」は「類義累積」と近い関係にあり、時には重なることもあります。なぜなら、「疑惑法」と「類義累積」とは両方とも、「似たような言葉を並べる」という点では同じものだからです。 ただ、「疑惑法」に「言葉に迷って」という理由で使われる。これに対して、「類義累積」に「似た言葉をならべることで印象を強くする」という理由で使われる。そこに違いがあります。 別の言いかたをすれば。 「疑惑法」は、「1つのものを違った角度で見た」ものです。そのため、「意味の違たことば」が並びます。 「類義累積」は、「1つのものを同じ角度から見た」ものです。そのため、「意味の似たことば」が並びます。 ですが、「疑惑法」と「類義累積」とが近い関係にあるのは確かです。 |
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| 疑惑法 | |||||
| ためらい・アポリア | |||||
| 遅疑逡巡 | |||||
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| 反復法、畳句法、畳語法、隔語句反復、復言法、類義累積、回帰反復、首句反復、結句反復、首尾語句反復、前辞反復、おうむ返し、異義復言、同綴同音異義、類音語反復、継起的音喩、訂正法、換語、抹消表示、頓絶法、中断法、挿入法 | |||
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| 「疑惑法」について書いてあるのは、[問題群としてのレトリック(森雄一)]という項目です。このサイトでは、「疑惑法」と「黙説法」とが似ている、といったようなことを書きましたが。そういったあたりの「ネタ本」は、これです。なお、この本では「ためらい」と「黙説」というレトリック用語を使っています。けれどもそれは、このサイトでの「疑惑法」と「頓絶法」というものと同じです。 | |||
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