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| 頓絶法 とんぜつほう aposiopesis | ||||||||||||||||
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| ――『女子妄想症候群(フェロモマニアシンドローム)』 2巻112ページ (イチハ/白泉社 花とゆめCOMICS) |
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《定義》 頓絶法は、言いかけてやめるレトリックです。ダッシュ(――)やリーダー(……)などによって省略を表示し、そのまま言いさしの形で文を結ぶ表現法です。それでいて、省略された部分はしっかりと何だか分かる仕組みになっています。暗黙のうちに、読み手・聞き手には内容が伝わることになります。 「ためらい」「怒り」「気持ちの高ぶり」などによって、その人が言葉を続けられなくなった。と、そういったことを表現するという効果があります。 「ふき出し」では、わりと多く見かけるレトリックです。というのは、この「頓絶法」というレトリックは、「話のやりとり」つまり「会話」のなかで登場するものだからです。会話文がメインとなる「ふき出し」では、たくさん出てくるのが自然です。 この「頓絶法」は、まれに「黙絶法」とも呼ばれます。 《例文を見る》 引用は、『女子妄想症候群(フェロモマニアシンドローム)』 2巻から。 主人公は「滸(ほとり)」(♀)。そして、その彼氏が「炯至(けいし)」(♂)。 この2人は、幼なじみだった。そして今、つきあっている。だけれども、この「滸(ほとり)」と「炯至(けいし)」のカップルには、とても大事な問題がある。それは、なにかというと。
で、この場面は。 友だちの「ユナ」が、バイトしている店(喫茶店)。この店が、クリスマスで人手不足になってしまった。そこで、ユナが(しぶしぶ)喫茶店に行く。 ならば、ユナだけがバイトに行ったのかというと、そうでありません。ユナは、その電話を受けた時、まさにクリスマスパーティーを始めようとしていたところだったのです。 そういった流れで。喫茶店でのバイトは、友だちみんなで行くことにした。なので「ユナ」はもちろんのこと、友だちの「滸(ほとり)」や、滸の彼氏「炯至(けいし)」も、バイト先へ行った。 バイト先の喫茶店に着く。そして、店の前でチラシを配ることになる。チラシを配る担当のヒトは、サンタクロースっぽい服装(=コスプレ?)を着ることになる。 問題は。
着替えを終えて、そのサンタクロースっぽい服装(=コスプレ?)をした「炯至(けいし)」のすがた。それがまた、悶絶するようなカワイイものだった。 その〈異様に色欲の強い女に成り果てていた〉滸(ほとり)が、「炯至(けいし)」のカワイイすがたを見る。すると、そのカワイさによって、「滸(ほとり)」は制御不能となる。 ただ、 と。 ここで「食べ食べ食食食食食 食食食食食食食食食」と、ことばに詰まっているところ。これが、「頓絶法」となるわけです。「食べ」だとか「食」とかいったものは、文が完全には成りたっていません。つまり、1つの独立した文とはなっていません。ですので、この部分を「頓絶法」とします。 なお、当然ながら。 「滸(ほとり)」が「今スグ食べたい」モノ。「むさぼり食いたい」モノ。「捕まっても食べたい」モノ。「舐める様にして食べたい」モノ。ここで「食べたい」ものは、本当は「ケーキ」ではありません。 ふつうケーキは「舐める様にして」食べるものではありません。また、食べたからといって「捕まる」こともないと思います(いちおう窃盗罪だけど、そんなことでいちいち逮捕はしない)。 《レトリックを深く知る》
【1.「頓絶法」のかたち】 「頓絶法」は、わりといろいろな効果のあります。たとえば、
右の画像は、『ミントな僕ら』1巻から。 主人公は「のえる」。 その「のえる」が町を歩いていると、偶然、寮の同室生である牧村を見つける。しかし牧村は、「へんなおっさん」と一緒に歩いていた。そのことについて考えをめぐらせているのが、引用のシーンです。 援助…と言いかけて、あ、まあ、この場合は「考えかけて」になるのかな、要するに「援助…」の部分で考えをやめてしまっています。 しかし、この考えかけでやめた言葉は、どう考えても 援助交際です。それは、誰にでもわかる仕掛けになっています。 このように、
【2.ちょっとイレギュラーな「頓絶法」】 うえで引用した「援助…」のように。 文の終わりを「……」だとか、「――」だとかいったもので締めくくる。このようなものは、正統派のパターンにあたります。このようなスタンダードなものもありますが、ちょっと変わったタイプの「頓絶法」もあります。 それは、
【3.「頓絶法」という用語】 なお。 このページで扱っているレトリックについては、「黙説法」と呼ぶのが一般的です。ダッシュ(――)やリーダー(……)によって絶句したことが表現されているばあいには、ふつう「黙説法」といいます。 けれども、このサイトでは「頓絶法」というレトリック用語を使っておきます。そして、「黙説法」という名前については別の意味を当てておきます。 あまり一般的なレトリック用語の使いかたではありません。ですが、そのように扱っていくことにします。 【4.ほかのレトリックとの関係】 「……」と黙ってしまう「頓絶法」や「中断法」と、語句を並べることになる「疑惑法」。見た目には逆なのにも関わらず、意外にも近い関係にあります。 なぜならどれも、「言葉に迷っている」という点で共通しているからです。つまり、伝えたいことを、うまく言葉することができない時の「苦しまぎれ」である点が共通しているのです。 【5.「頓絶法」の特別な効果】 時には。 「頓絶法」が、ちょっと違った効果を出すこともあります。それは、「読み手に伝えようとしかけてやめる」場合です。ふつうの「頓絶法」は、ことばの上では表現していなくても、読み手には内容が伝わります。ですが、そうではない「頓絶法」もあります。 この場合には、書き手は頓絶してしまった後で何を言いたかったのか、それが「読み手」に十分に伝わらないことになります。つまり、読者を「宙ぶらりん」の状態にする。もう少しいうと、「宙ぶらりん」にするためにワザと「頓絶法」を使うことがあるのです。 ――「頓絶法」は、こんなときにも利用されることがあります。 |
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| 関連項目→省略法、断絶法、中断法、黙説法、疑惑法、挿入法 | ||||||||||||||||
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