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| 類義区別 るいぎくべつ distinctio, paradiastole | ||||||||||||||||||||||
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| 『星界の戦旗II―守るべきもの―』29ページ (>森岡浩之・宮越和草・サンライズ・WOWOW /メディアワークス 電撃コミックス) |
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| 類義区別は、似ている言葉を、はっきりと区別して使うレトリックです。 つまり、うっかりしていると「同じ意味だ」と受けとられてしまいそうな2つのことばを、並べることによってハッキリと区別する表現です。 |
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| なにか考え方や主張があるばあい。今までの考えかたをズラすために使うことで、新しい考えかたであることをとか、アピールすることができます。 | |||||
| なにか考え方や主張があるばあい。今までの考えかたをズラすために使うことで、新しい考えかたであることをとか、アピールすることができます。 | |||||
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| ほんとうは細かい違いにすぎないようなこと。だけれども、わざと2つの考えを比較して、そのあいだの距離を強調するといったことすることができます。 | |||||
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似かよっている、ことば同士。その2つのことば同士であっても、少しは違いがあるはずです。その違いを明らかにするのが「類義区別」です。 | ||||
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| 上の引用は『星界の戦旗II』1巻から。 星界軍と人類統合体との、2つの勢力があるという世界。そして、この星界軍と人類統合体とのあいだで、戦闘がはじまる。 登場人物のラフィールやジントたちは、星界軍の一員として戦いに参加している。 そんななかでの戦況は、圧倒的に星界軍のほうが優勢。そのため、さまざまな地域を星界軍のものにしていく。 が、そのときに、それぞれの占領した星での「領主代行」を決めておかなければならないことになる。 それが引用の場面です。 「領主代行」は皇族か貴族でなくてはならない、という決まりがある。で、ラフィールは皇族で、ジントは貴族(伯爵)であるために、その役が回ってくる。それに対してのラフィールの言葉、 別に気に入らないというところを「類義区別」と見ます。 さて、皆さんは、「気に入らない」と「気が進まない」との間にどれくらいの違いを感じるでしょうか。 サムソンも「どれだけ隔たりがあるのでしょうかね…」と言っています。 ですが、ラフィールは明確に分けて「気に入らない」ではなくて「気が進まない」なんだ、と言っています。 このように、似通った言葉を明らかに区別して並べて使うレトリックが「類義区別」です。 |
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この「類義区別」が使われている例を、もう1つ見つけることができました。それは、『ラグーンエンジン』(杉崎ゆきる/角川書店 あすかコミックス)の1巻。 このマンガの主人公は、「等軍焔(らぐんえん)」と「等軍陣(らぐんじん)」の兄弟。彼ら兄弟の家は、代々「凶(マガ)」と呼ばれる悪霊とか幽霊とかを退治している。 …と、いつもなら説明を続けます。ですが、今回見つけたものは、このストーリーと直接には関係していないので、あとは省略させていただきます。 で、「類義区別」が使われていたのは、こんな文。 ある日、というわけで、「恋文」を手にした、兄の「焔」。なんで、「ラブレター」ではなくて、「恋文」なのか。それは、その恋文に書いてあることばが、 という、古風な文体で、しかも筆で書かれたものだったから。 それにしても、「ラブレター」と「恋文」とは、意味としては違いがないはずです。ただ、あまりに古風なので、「ラブレター」という「外来語」を使うのではなくて、「恋文」という現在ではほとんど使われなくなったことばを使った。 というわけで、この引用した「ラブレター/恋文」も、「類義区別」と言えるでしょう。 なお、蛇足ながら。 本当に、本物の「古風な恋文」ならば、「お慕い申し上げております。」とは書かないはずです。 それは、物知りな方ならば気がつくはずです。つまり、 むかし、手紙の文章には、句読点「、」「。」を使わないという習慣があったはずだからです。現在でも、目上の人に対しては、句読点「、」「。」を使わないのが正式な手紙です。もはや、この習慣も薄れてきていて気にする必要がないとも思いますが。 まあ、ようするに、句点「。」を使っているこの手紙には違和感があるのです。だって、筆で書かれた古めかしい手紙なのに、句点「。」が打ってあるから。 まあ、実はこの手紙は…。 …いや、私が書くのはやめておきます。みなさんは『ラグーンエンジン』を読んで、確かめてみてください。 |
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| ほかには、『のだめカンタービレ』(二ノ宮知子/講談社 コミックスKiss)1巻から。 「のだめ」がピアノで演奏する、 ベートーヴェンのピアノソナタ「悲愴」。その独特の弾きかたについて、千秋はこのように言っている(20ページ)。 デタラメだけど、間違ってるんじゃないそりゃあ「デタラメ」と「間違っている」とは、同じことばではないけれども。ここにも、「類義区別」っぽいものがある。 |
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| そういったわけで。 この「類義区別」というレトリックの技術を、実際にコミックの中で使っている本。それは、それこそ枚挙にいとまがありません。 それなのに、この「類義区別」というレトリック用語はマイナーなのです。googleで「類義区別」を検索すると、そのマイナーぶりが一目でわかります。だって、ヒットが5件なんだもの。しかも、そのうち2件は、このサイトだし(2007年5月現在)。 だからといって、「類義区別」に別の有名な呼びかたがあるとは聞いたことがないし。 まあ、いいんです。「類義区別」はコミックスであっても、いくつも見つけることできる。そのことが、分かっていただけたと思うので。 |
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| この「類義区別」に関連して。 『日本語レトリックの体系』には、「微差拡大」というレトリックが用意されています。 これは、 ふつうに見ていると似たように思われる2つの言葉のあいだの違いを、極端に強調して、その違いを目立たせるレトリックであると説明されています。 ですのでこの「微差拡大」は、「類義区別」とほぼ同じものだと考えていいでしょう。 |
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| 類義区別 | ||||
| 微差拡大 | ||||
| 多義識別・ディスタンクシォン・分別法・区別(法) | ||||
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| 誇張法、過大誇張法、過小誇張法、緩叙法(広義の)、虚言、極言、印象強調、過小言辞、感嘆法、古語法 |
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| 日本語の例文が載っているいます。日本語での「類義区別」を知るのには大事な本です。なおこの本では、「微差拡大」という用語が使われています。 | |||
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| なお、「人工言語」での注意書きと同じく。 上で引用した「ラフィール」「ソバーシュ」たちは、「アーヴ」と呼ばれる(人間に似た姿をした)生命体です。ですので、この「ラフィール」と「ジント」とのあいだの会話では、「アーヴ語」という言葉で交わされています。 そしてこの本では、そのアーヴ語流の言い回しが「フリガナ」として(カタカナで)書いてあります。 しかし、いちいち「星界軍」に「ラブール」、「帝国」に「フリューバル」といったアーヴ語の「フリガナ」を忠実に書いていったら、すさまじく読みにくくなります。また、手間もかかります。ですので、アーヴ語流の言い回しとして書かれている「フリガナ」については、このページでは省略して書いていくことにします。 なお、 以上が、おわびとご注意です。 |
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あと、個人的な意見としては。 もしも、まだ『星界』シリーズを楽しんでいないのだとしら。 早川書房から出版されている「文庫版(ハヤカワ文庫)」の原作のものから読んでほしいというのが私の希望です(「人工言語」のページでも同じことを書きましたが)。 『星界』シリーズは、アニメやマンガ、ドラマCDなど、いろいろな方面に「メディアミックス」しています。 しかし、いちばん原点にあって読者を引きつけるパワーがあるのは、ハヤカワ文庫版の『星界の紋章』と『星界の戦旗』だと思います。 ですから、興味のある方は「ハヤカワ文庫」からスタートして下さい(ちょうど作者が遅筆なのでやや古い本になっているので、中古ならば1冊100円くらいで手に入れることができるかもしれないし)。 |
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