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| 列挙法 れっきょほう enumeration | ||||||||||||||
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| ――『星は歌う』1巻139~141ページ (高屋奈月/白泉社 花とゆめCOMICS) |
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| 列挙法は、あるものごとの要素にあたることばを、つぎつぎと並べるレトリックです。言いかえれば、ひとつの対象を描き出すために、いろいろな方面からさまざまな言いかたを持ち出すものです。 並べられたひとつひとつの言葉は、強調する表現ではありません。しかしそれが連続して並べられるために、表現を強調することになります。 |
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| あるモノゴトについて、いくつものことばを使って説明する。そのことによって、読み手(聞き手)に与える印象を強くすることができます。 | |||||
| しかしながら。あるモノゴトに関連することであったとしても、それをバラバラに脈絡なく並べたとしたら。たしかに、上に書いたような相手の理解を助ける表現とはなりえません。ですが、情報を送る立場にある人が、そのことについて強いこだわりをもっているという状況をあらわすことができます。 | |||||
| なお。 「列挙法」を使うことによる「効果」は、かなりいろいろなパターンに分かれます。 ですので、あらためて下のほうで細かい解説をしていきたいと思います。 |
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| ある1つのことを言うために、その下位となる同格のことばを、いくつも積み重ねる。上位にある1つの概念を言うために、その下位にあたることばを畳みかけていく。それが、「列挙法」のスタンダードな使いかたです。 | |||||
| べつの言いかたをすれば。意味やイメージとして同格のことばを、次から次へ並べ立てる。同等のことばを、数多く並べていく。それが「列挙法」だということもできます。 | |||||
| 「列挙法」のようにことばを並べるという言いまわしをするときには、注意しておく点があります。それは、「どんなことばを使うか」と「どのような順番で使うのか」というところです。そしてそれを決めるのは、「列挙法」を使う人の「リズム感」だということができます。丸谷才一はこのことについて、「(列挙法は)筆者の耳のよさによつて成立してゐることはやはり念を押しておかなければなるまい」と述べています。 | |||||
| 「列挙法」は一見すると、「ことばを並べているだけ」と思われがちです。そのため、考えなしに書いた下手な文だという印象を与えることもあります。 | |||||
| 「列挙法」は、使うと目立ちやすいレトリックです。つまり、「列挙法」を使って書いているということが、かんたんに分かるものです。そのため、あまり多く使うと、すぐに読み手(聞き手)は気がつきます。そして、「列挙法っぽい言いまわしが、何回も出てきている」という印象を持たれてしまうことになると思います。その意味で「列挙法」は、アクの強いレトリックだということです。 | |||||
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| このページの、いちばんはじめの画像は、『星は歌う』1巻から。 主人公は、「サクヤ」。 そして、引用しているこのシーンで「サクヤ」と対話しているのは、「千広」。 この「サクヤ」と「千広」とが、このシーンでどういった関係にあるか。それをサクッとひと言で説明するのは、ちょっと難しいモノがあります。ですので、ちょっと長くなりますが、順を追って物語の流れを書いていくことにします。 「サクヤ」は父親に見捨てられ、従兄(かなちゃん)のもとで暮らしていた。 そんななか、「サクヤ」の誕生日に出会ったのが「千広」。彼は、誕生日に「サクヤ」が帰宅すると、なぜか従兄(かなちゃん)といっしょにいた。そして「千広」は、従兄(かなちゃん)といっしょに「サクヤ」の誕生日をお祝いしてくれた。そして「千広」は「サクヤ」に、やさしい言葉をかけてくれた。 が。 「千広」は、まさに謎の人物。てっきり「サクヤ」は、従兄(かなちゃん)の友達だと思っていた。けれど従兄(かなちゃん)のほうは、「サクヤ」の彼氏だと勘ちがいしていた。だから「千広」は、とつぜん「サクヤ」の家にあらわれて、誕生日のお祝いに参加したということになる。 そんな「千広」の事情を知るために。そして、もう一度「千広」と話しをするために。「サクヤ」は、「千広」を捜しはじめる。 で。 ついに「サクヤ」は、「千広」を見つけ出す。それが、いちばん上に引用したシーンになるわけです。 このシーンで、「千広」が「怒ってない?」と、たずねているのは。ダマすようにして、「サクヤ」の誕生日のお祝いに参加したから。それにたいして「サクヤ」は、自分自身(サクヤ)も従兄(かなちゃん)も、勘ちがいしていたのだから怒ってなんかいない、というような返事をしています。 しかしながら。 つづいて「千広」は、「サクヤ」にたいして非常に冷たいことばを投げつけます。「千広」は、自分自身の正体について「サクヤ」に聞かれると、つぎのように答えます。 …とまあ「千広」は、ただ「サクヤ」拒絶するようにことばを並べます。ここで太字になっているのが、「列挙法」というわけです。 じつは。この引用したシーンは一部で、これには続きがあります。そして、その続きの部分にも、「列挙法」が用いられています。 これもまた、「列挙法」となります。 でもって、さらに。 この2ページほど先にも、また「列挙法」があらわれます。ですが残念ながら、それについてまで書きおよぶスペースはありません ですので。 それについては、みなさま『星は歌う』を買ってたしかめてみてください。 |
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主人公は、宮沢雪野。高校生。 雪野は、とてつもなく見栄っ張り。学校では優等生を演じているけど、実際は 「上品なワタシ」はただのソトヅラと、10ページで言っています(ここで太字にしたところも、「列挙法」になっています)。 それでもって、本題となっている例文のところ。「見栄王」だという正体がバレてしまって大変なことになっているのが、例文のシーンです。 そこで使われているのが、 みえっぱりだしというやつ。 まさに、「列挙法」として例文に使うために書かれたのではないかと思うほど、スマートな「列挙法」です。 念のために、解説しておきます。 この例文での、「上位にある1つの概念」。それは、雪野が自分に対して思っている「見栄王」であるという性格。 そして、この「見栄王」であるということの「下位にあたることば」。それが、「みえっぱり」「ワガママ」「うそつき」「計算高い」「強欲」といった感じで並んでいる。つまり、この並べられたことばが、「見栄王」であることの証拠というわけです。 このように、一つのものを表現するために同じような言葉をいくつも積み重ねていく表現が、「列挙法」になります。 つけ加えておくと。 『彼氏彼女の事情』という作品には、とても多くのレトリックを見つけることができます。レトリックだらけです。 |
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この「番外編」は『ペンギン☆ブラザーズ』(椎名あゆみ/集英社 りぼんマスコットコミックス)の3巻所収です。 で、これは「番外編」ということで、本編の3年前にあたる中学1年生の頃のお話が描かれています。 ここで、3年前の西崎快人は、男子の会話の中で出てきた、 「うちのクラスで ナンバー1の 女子っつったら…」という質問に対して、 「俺は 飯島豊!」と答える(163ページ)。でも飯島は、クラスメイトの間では、 「いっつも眉間にシワよせてんじゃん」というふうに見られている(164ページ)。つまり、飯島についての評判は悪いわけです。 でも西崎は、実際に昼食の時に、学校の屋上でひとり寂しく食べている飯島のところに行って、会話をする。それが、右に引用したシーンになります。 この会話の中で太字にしたところも、「列挙法」になっています。 |
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| ●列挙法の「効果」を詳しく見てみる | |||
| このページの最初のほうに書きましたが。 列挙法を使うことによる「効果」は、かなりいろいろなパターンに分かれます。 ですので、ここから下では。 大きく2つ、
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――具体化したり説明を加えたりすることで、インパクトを与えるタイプ |
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| ひとつのことがらに対して、いくつもの表現を積みかさねる。それによって、洪水があふれ出すようなチカラのある表現を生む。そうすると読み手(聞き手)は、圧倒されるような感覚をえることになります。 | |||
| つぶさに詳しく、いろいろな表現を使って書いていく。じっくりと念入りに、いくつもの表現を並べあげる。そのことによって、よりハッキリと具体的に示すことができます。 | |||
| ひとつのことがらについて、ひとつの表現にとどめない。細かい部分にまで、丁寧な説明をほどこす。そのことによって、細かい点について深い理解をしてもらえることが見込めます。 | |||
| ひとつの表現だと、ピッタリあてはまることばがない。そのようなとき、いくつもことばを畳みかけることによって、本質に迫っていくことができます。このパターンは、「 |
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| 時間の流れに沿って、順番に並べていく。または、動作が行われていく順に並べる。もしくは、手前から順に、だんだんと遠いほうへと筆を進める。そのように、枠組みをもって順を追って述べていくことで、分かりやすい首尾一貫した流れをつくりだすことができます。 | |||
| あるものごとについて、いろいろなことばを並べる。そのようすは、ものごとにたいする一途さであるとか、一心不乱であるようすなどをあらわすこともあります。 | |||
| ひとつのことについて、いろいろなことばで説いていく。そうするとによって、ものごとをより分かりやすく鮮明に表現することができます。ですので「列挙法」は、よりカンタンに読み手(聞き手)が分かってもらうために有効な手段となります。 | |||
| あるものごとに限って、いくつものことばを積みあげていく。ほかのものごとについては、ひとつの表現で済ましているのに、そのものごとについてだけ多くのことばを使う。それはつまり、ほかのものごととは違った、特別の扱いをしているということです。そのことから、あるものごとを他のものごとよりも際立たせたいときににも、「列挙法」を使うことができます。 | |||
| ものごとを順番どおりに、段取りにしたがって並べていくていく。その並べるようすは、手際の良さであるとか機敏なかんじをあらわすことがあります。 | |||
――雑多でバラバラに並べたてることで、こだわりを示すタイプ |
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| とくに会話で話し手が、ひとつのものごとについて、どんどんと畳みかける。そのような動きをしたときには、矢つぎばやにしゃべったり、まくし立てたりするようすをあらわすことがあります。 | |||
| とりたてて順番を考えることなく、いろいろなことばが並べられたばあいには。それぞれのことばが、片っ端からかき集められたものであるという印象を与えます。 | |||
| これは、「列挙法」にカテゴリーされるもののなかでも、とりわけ数多くのことばを続けるばあいのことです。そのばあいにのように、はるかに上回るような無数のことばが続けられたとき。続いているそれぞれのことばは、なにか意味があって並んでいるという印象を与えません。むしろ、むやみやたらと手当たり次第に並べられたと感じられることになります。 | |||
| ひとつのものごとについて、何度も何度も同じようなことをくり返す。そのような表現は、そのこのことに対する執着であるとか、こだわりの強さを映しだしたものとなります。 | |||
| ごちゃごちゃとして、入り乱れている場面を描きたいというばあい。「列挙法」で、その場景にあるバラバラで雑多なものごとを、ひとつひとつ並べていくことで対応することができます。 | |||
| すぐ上の項目に書いた「雑然」というのと、似ていますが。人や物が賑わって、ごった返しているといった「繁盛」とか「繁栄」といったようすを映しだすこともできます。 | |||
| さまざまなものごとが、バラバラに無秩序な広がりをみせているとき。そのバラバラなようすを次々と列挙していくことで、統一性のない入り乱れたようすを描写することもできます。 | |||
| あれもこれも必要以上に、あるものごとについての表現を書き出す。その態度は、大げさで誇張された物言いであるという印象を与えます。また時には、でたらめなウソ臭い表現であるということを示すこともあります。 | |||
| 相手のことばを聞かずに、一方的にまくしたてる。まるで機関銃のように、ことばを連射する。それはウラを返せば、冷静さを欠いていているということでもあります。 | |||
| アタマの中で、ちゃんと整理をしてから話しをする余裕がないとき。つまり、忙しかったり焦っていたりするとき。まとまりなく、いくつものことばを並べたてることがあります。 | |||
| ふつう考えられるような常識どおりの並べかたをすれば、「列挙法」では上に書いてきたような効果が期待できます。ですが、そのような常識にとらわれない自由な並べかたをしたばあいに。時として、おかしみを持つコミカルな言いまわしを生みだすことができます。 | |||
| 「漸層法(広義の)」というレトリックがあります。これは、だんだんと程度が強まるように(または弱まるように)ことばを並べる、というものです。 なので、ことばを並べるという意味では「列挙法」と似たものといえます。この「漸層法」と「列挙法」との違いについては、「漸層法(広義の)」の項目を参照してください。 |
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| また。 「点描法」というレトリックと、それから「敷衍」というレトリックがあります。これらのレトリックについては、分類の方法によっては「列挙法」の一部とする考え方もあります。 くわしくは「点描法」と「敷衍」の項目を参照してください。 |
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| 「列叙法」というレトリックがあります。「列挙法」は、この「列叙法」というグループに含まれるレトリックだと考えられます。 くわしくは「列叙法」のページを参照してください。 なお。 「列叙法」のページに、「列叙法」と「列挙法」との違いについての疑問点を書かせていただきました。ごく一般的な方には、どうでもいいようなことが長々と述べてあります。 そういったわけなので、シロウトのたわごとに耳をかたむける余裕のある方は読んでみてください。 |
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| 列挙法・列挙 | ||||
| 羅列 | ||||
| ※「羅列」については、「列叙法(accumulation)」の意味で使うこともあります。 | ||||
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| 列叙法、漸層法(広義の)、漸層法(狭義の)、類義累積、点描法、敷衍 | |||
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| この本では、かなり細かい分類がされています。具体的に言うと、《分解列挙》《多面列挙》《多種列挙》《各項各様》《準備列挙》《要約列挙》《前項列挙》《名詞形容詞句列挙》《順位づけ列挙》…。とまあ、いろいろな名前が挙がっています。 | |||
| この本を書いているのは、小説家の丸谷才一氏。そんなわけで、学者とはちょっと違った視点から書かれています。なお「列挙法」というレトリックは、この本では「羅列」という名前で扱われています。 | |||
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