TOPへ 50音順 使う目的別 佐藤信夫『レトリック事典』の分類 中村明『日本語の文体・レトリック辞典』の分類
 
皮肉法 ひにくほう irony
——『フルーツバスケット』7巻24ページ(高屋奈月/白泉社 花とゆめCOMICS)
ひゃっ」(ずべん)
燈路 なーんかウス汚れたカバン…」
あ゛ あ゛の」
燈路 この手帳の色はいいね
オレ深緑って好きなんだ
これちょうだい」
え゛!!?
いけません それは…」
燈路 オレは草摩燈路
まぁ もう会うことは無いと思うけど
一応名乗っておくよ
じゃあね
ものすごく
つまらない時間をくれて
どうも
待っ 待って下さい
その手帳には
お母さんの写真を…っ」
——『フルーツバスケット』7巻24ページ
(高屋奈月/白泉社 花とゆめCOMICS)


定義重要度

皮肉法は、相手を非難したり、けなしたりするために使うものです。あえて自分が考えている「非難するためのことば」とは正反対となる「ほめることば」をつかう。その結果として、相手を「攻撃することができる」というものです。


効果
効果1相手を攻撃する

「皮肉法」は、使われたことばのオモテだけをとらえれば「ほめことば」です。ですが実際には、非難をするために使われることになります。
:非難する、とがめる、問い詰める、当てつける、当てこする、あげ足をとる、攻撃する、トゲがある、するどい
効果2相手を見くだす
話している相手のことを、自分よりも下のヒトだとすることができます。
:愚弄する、からかう、茶化す、揶揄する、あざける、おとしめる、軽んじる、さげすむ、軽蔑する
効果3相手に嫌味を言うす
話している相手に、皮肉とか嫌味をいったりすることができます。
:侮辱する、小バカにする、バカにする、見くだす、いやしめる、侮蔑する
効果4みんなで相手をバカにする
「皮肉法」を対象となっているヒトを、みんなでバカにするということができます。これは、1人が1人を攻撃するというのではなく、ある特定の1人のことを周りの全員がバカにするといったものです。
:皮肉、諷する、諷刺、嫌味を言う、嗤い、忍び笑い、もの笑い、あざ笑い、嘲笑、批判、不実
効果5反論することが難しい攻撃になる

「皮肉法」で攻撃してきたばあい、その皮肉にたいして反論するのは、かなり難しくなります。どうしてかいうと、「皮肉法」が2つのステップをもっているからです。表面上は、相手にたいして「ほめることば」を使っている。それなのに、実際は「けなす」という効果をもっている。つまり、「皮肉法」は一筋縄ではないのです。そのため、この「皮肉法」を聞いた相手が、これに真正面から反論するのは難しいことになります。
:反語
効果6遠まわしに、たしなめる効果がある

「皮肉法」を使うことによる効果。そのメインとなるのは、たしかに「非難」「攻撃」です。けれども、モノゴトをすこし穏やかに伝えるということにも使うことができます。「忠告」だとか「いましめ」とかいったことを、相手に示すこともできます。
:たしなめる、軽くしかる、いましめる、注意する、忠告する、警告する
効果7アタマの回転が速いことをあらわす
これは、「皮肉を言われた」ヒトではなくて、「皮肉を言った」ヒトについてのこと。うまいこと「皮肉」を言うことのできるヒトは、先を読んで話をしていることになる。なので「皮肉の使い手」は、気の利いた会話ができるヒトだといえます。
:うまい、手際がよい、うまみがある、あざやか、巧妙な、気が利く、さとい
効果8ユーモアのある軽口としても使うことができる
「皮肉法」には、「しゃれた」ことばづかいであるとか、「ユーモア」のある言いまわしといったものも含めて考える立場もあります。その立場からいえば、あざやかで巧妙な話しぶりについても、「皮肉法」ということができます。(このサイトでは、そのようなものは「皮肉法」とはしていません。)、
:ユーモア、しゃれ、軽口、諧謔

使い方
使い方1典型的となるノーマルな使いかた

基本的には。つぎの4つをすべてそろえることによって、「皮肉法」を使うことができます。
1. 回りくどさ ワザと自分が思っていることとは、まったく正反対のことをいう。
2. 推論 相手が言ったり行ったりしたことに関してのことをいう。
3. 引用性
(エコー)
聞き手のほうでは、相手の言ったことばが相手の思っているのと反対だとキャッチすることになる。つまり聞き手は、「ことば通り」の意味と「直接ことばに出てきていない」意味という、2つを持ちあわせていることを受けとる必要がある。
4. トゲがある 相手を非難したり批判したりといったことをするために使う。
ただし。この4つをそろえると「皮肉法」だとする説明は、1つの考えかたにすぎません。つまり、いくつかある「皮肉法」の考えかたのうちの1つでしかありません。

そういった込みいった事情をふくめた、「皮肉法」の定義について。くわしくは下のほうに書いておきました。

使い方2ホンネと反対のことを言っていることを示す「目印」

使い方1で書いた、「1.」〜「4.」のうちで。「3.引用性」についてだけは、やっかいな問題があります。「皮肉を言われているヒトが、皮肉だということをキャッチする」ということ。この部分だけは、「皮肉を言われている相手」に任されているのです。そういったことから多くのばあい、皮肉なんだということを「あからさまに」示すために「目印」をつけます。このページでは書ききれないので、「反語的讃辞」のページに書いておきました。(〈皮肉の「しるし」〉=専門用語でいう「反語信号」の問題。)

注意

注意1「皮肉法」を使ったのに、相手に気づかれない可能性がある

「皮肉法」を使うときに、いちばん注意しなければならないこと。それは、非難しようとしている相手が「皮肉法」だと気がついてもらう必要がある、ということです。どういうことかというと、見せかけだけ「ほめている」はずなのに、相手が「ほんとうにほめている」ことばだと思ってしまう可能性があるということです。
:回りくどい、もってまわった、遠まわし
注意2かなり攻撃的になる

「皮肉法」は、かなり攻撃的なレトリックです。ですので、むやみに使うものではありません。たしかに、気の利いた軽い「皮肉法」というものもあります。ですが、たいていは相手に強いダメージをあたえるものです。



例文を見る例文を見る(末尾)

例文は、『フルーツバスケット』7巻。

草摩燈路が登場するシーンです。
じゃあね
ものすごくつまらない時間をくれてどうも
というところに注目してみましょう。

「つまらない」と言っているにもかかわらず、「どうも」というふうに、お礼をつけ加えている。これが「皮肉法」の例になります。本当は、ちっとも「ありがとう」なんて気持ちがないのに、反対に「どうも」と言う。まさに、本心とは反対のことを言っています。これを細かく分ければ「反語的讃辞」となります。

それはそうとして、この草摩燈路は、反語や皮肉を言うのがとっても得意。なもんで、この前後での草摩燈路のセリフにも、数多くの反語や皮肉がちりばめられています。それを、草摩燈路の登場シーンから順に並べていくと…
  • (拾ってと言われたので、靴を拾ってあげると)「何 マジで拾ってんのさ 愚か者」
というのから始まります。たぶん、透に靴を拾わせているのはワザとなんだと思われる。とすると、拾って欲しかったには拾って欲しかったんだろう。とすれば、一応は「拾って欲しくなかった」という事実と反対のことをワザと言っていることになります。ですので、「皮肉法」といえます。

さらに続けると…
  • 「アイデンティティーとかポリシーとか無い訳? 廻れって言われたら廻る訳? 転べって言われたら転ぶ訳?」「やだやだ 主体性を持ちあわせない人間て!」

  • 「ちょっと ねえ!! 拾ったんならすぐに返してよっ それとも何? 盗む気!?」

  • 「このオレからわざわざ会いに来てやったのに 礼の一つも言えない訳?」

  • 「アナタ様如きにこうして会いに来る人間くらい 今までの経験ですぐに察して下さいマセン?」

  • 「じゃあ何 オレに奢れって言う訳? 年下にたかる訳? 自分が欲しい物持ってる奴がいたらカツアゲしてもいいと思ってる訳?」「やだやだ利己的な人間て!!」
でもって、上に引用した、
「じゃあね ものすごくつまらない時間をくれてありがとう」
となります。さらに、さらに続けると…
  • 「じゃあ何 礼儀って言われたらなんにでも従う訳? 死ねって言われたら死ぬ訳? 殺せって言われたら殺す訳?」「それはまたご立派ですコトっ」

  • 「何ソレ 人を邪推する訳? 冤罪だったらどうやって謝罪する訳?」
…うう〜。もう、いちいちタイピングするのに疲れた。あとは、その他大勢にしておきます。ようするに、「皮肉法」が群をなしてオンパレードの状態です。

もちろん、この中には「皮肉法」には当てはまらない表現もあります。ですが、少なくとも「トゲのある表現」がならんでいるのは確かです。

ですが、いずれにしても。
草摩燈路は、反語や皮肉を言うために生まれてきたようなキャラです。そういったキャラ性に敬意を表しまして、「皮肉法」のカテゴリのトップであるページの例文として、草摩燈路の登場シーンを使わせていただきました



レトリックを深く知る

深く知る1このサイトでいう「皮肉法」のあつかい

使い方のところで書いたように。このサイトでは、つぎの4つをすべてそろえるたものを、「皮肉法」とします。
1. 回りくどさ ワザと自分が思っていることとは、まったく正反対のことをいう。
2. 推論 相手が言ったり行ったりしたことに関してのことをいう。
3. 引用性
(エコー)
聞き手のほうでは、相手の言ったことばが相手の思っているのと反対だとキャッチすることになる。つまり聞き手は、「ことば通り」の意味と「直接ことばに出てきていない」意味という、2つを持ちあわせていることを受けとる必要がある。
4. トゲがある 相手を非難したり批判したりといったことをするために使う。
という4つです。

なのですが。「皮肉法」というレトリック用語を、どのようなものに使うのか。つまり「皮肉法」の定義については、争いがあります。

この、「皮肉法」をどのように定義するかという問題。これは大きく分けて、3つのパターンがあると思います。ですので、その「3つのパターン」というを見ていくことにします。


“いちばん広い意味”で使う「皮肉法」ということば

まず、“いちばん広い意味”での「皮肉法」というものがあります。

この“いちばん広い意味”での「皮肉法」には、トゲをひそませた言いかたの全てを含めます。つまり「トゲのある表現」であれば、どういった表現であっても「皮肉法」に当てはまることになります。批判すること、けなすこと。そういったものがすべて、「皮肉法」となります。

ですがレトリック用語としては、この“いちばん広い意味”での「皮肉法」のことを「皮肉法」と定義することは、ほとんどありません。もちろん日ごろ使うことばとしての「皮肉」には、このような意味もあります。というよりも、ふつうはそのように使うものかもしれません。

けれども、そのような使いかたはレトリック用語としてはしません。


“やや広い意味”で使う「皮肉法」ということば

この“やや広い意味”で使う「皮肉法」というもの。これは、「ほんとうに伝えようとすることの逆をいうこと」と定義できます。

くわしくにいうと。
「ワザと自分が思っていることと、反対のことを言う」レトリック。そのことを、「皮肉法」とする場合があります。言いかえれば、実際のこととは逆のことを言いながら、それが逆であることが分かるような表現といえます。つまり、
1. 回りくどさ ワザと自分が思っていることとは、まったく正反対のことをいう。
2. 推論 相手が言ったり行ったりしたことに関してのことをいう。
3. 引用性
(エコー)
聞き手のほうでは、相手の言ったことばが相手の思っているのと反対だとキャッチすることになる。つまり聞き手は、「ことば通り」の意味と「直接ことばに出てきていない」意味という、2つを持ちあわせていることを受けとる必要がある。
といった「1.」から「3.」をそろえることで「皮肉法」となる。このようなものが、“やや広い意味”で定義したばあいの「皮肉法」となります。

この意味でもって、「皮肉法」というレトリック用語を定義することは、少なからずあります。こちらの説も、なかなか有力です。

この“やや広い意味”でもって「皮肉法」を定義したばあいと、つぎに書く“せまい意味”で「皮肉法」を定義したばあいで、違いが出るもの。それは、「相手をほめるつもりで、表面的には相手をけなした表現を使う」ばあいです。

たとえば、
「彼は一番の悪友でね」
というもの。この表現は、“やや広い意味”での「皮肉法」といえます。この「彼」という人間について「悪い人」だと思って発言しているのでなければ、逆のことを言っていることになるからです。ですが、“せまい意味”には、当てはまりません。なぜなら、“せまい意味”では、「相手を攻撃するばあい」に限って「皮肉法」としているからです。

たしかに、この“やや広い意味”説は有力なものです。しかし、“やや広い意味”には大きな欠点があります。それは、「実際のところ、あまり使われない」ということです。

もちろん、話しかたとしては、あり得るものです。ですが、このように「ほめるために」自分が思っているのと反対のことを口にするということは、あまりないのです。それは、別に遠回しにして表現しなくてもかまわないからといえます。


“せまい意味”で使う「皮肉法」ということば

この、“せまい意味”というパターンで「皮肉法」を定義するばあい。つまり、
1. 回りくどさ ワザと自分が思っていることとは、まったく正反対のことをいう。
2. 推論 相手が言ったり行ったりしたことに関してのことをいう。
3. 引用性
(エコー)
聞き手のほうでは、相手の言ったことばが相手の思っているのと反対だとキャッチすることになる。つまり聞き手は、「ことば通り」の意味と「直接ことばに出てきていない」意味という、2つを持ちあわせていることを受けとる必要がある。
4. トゲがある 相手を非難したり批判したりといったことをするために使う。
という4つをそろえているもの。これが、このサイトで採用した「皮肉法」の定義です。

この、“せまい意味”の「皮肉法」というのは。くわしく書くと、「ワザと真意とは逆のことを言い、その言葉のウラにトゲをひそませて、笑いものにしたり、相手の弱点をついたりするもの」ということができます。

このサイトで使うこととなった“せまい意味”での「皮肉法」。これは、よく用いられるものです。たとえば、
「おりこうですね」
といわれた子供は、おとなしくしてはいないものです。

そして、この例文を、上に書いた4つの条件にあてはめてみると。
1. 回りくどさ ワザと自分が思っていることとは、まったく正反対のことをいう。
「じっとしていたり、もの分かりがよかったり」していない。なのに、「お利口だ」と言った。
2. 推論 相手が言ったり行ったりしたことに関してのことをいう。
相手、つまり「子供」について言っている。
3. 引用性
(エコー)
聞き手のほうでは、相手の言ったことばが相手の思っているのと反対だとキャッチすることになる。つまり聞き手は、「ことば通り」の意味と「直接ことばに出てきていない」意味という、2つを持ちあわせていることを受けとる必要がある。
「お利口だ」というのが、そのことばを言ったヒトが感じているのと正反対だと受けとることができる。
4. トゲがある 相手を非難したり、批判したりといったことをするために使う。
子供がじっとしていないということを、非難している
という4つの条件を、満たしています。ですので、“せまい意味”での「皮肉法」だということになります。

深く知る2「皮肉法」と「反語法」との関係

「反語法」というレトリックも、あります。そして、「反語法」と「皮肉法」とは似たようなものだと考えられています。

ですが、この「皮肉法」と「反語法」との区別をどのようにするかについては、定まっていません。昔から議論があって、現在でも確立していないのです。

この原因は、「皮肉法」をどのように「定義」するかが定まっていない、というところにあります。つまり、「皮肉法」の「定義」がバラバラだということに理由があります。

いままで書いてきたように、「皮肉法」をどのように「定義」するかという問題について、“やや広い意味”だとか、“せまい意味”だとかいった説がある。ようするに、「皮肉法」ちっとも論議がまとまらないません。

そしてこのことが影響しては、「反語法」というレトリックの定義とも関わってくるのです。

ナゼかというと。「反語法」というレトリックは、「皮肉法」を重なり合うことのあるからです。そのため、「皮肉法」とは何かということを考えることが、「反語法」というレトリックがどういったものなのかを考えるときにも、影響してくるのです。

以上のことをまとめると、次のようになります。
  1. 「皮肉法」と「反語法」とは、重なり合うことがある。

  2. 「皮肉法」の定義が、まとまっていない。

  3. 「反語法」の定義のほうまで、まとまらなくなっている。
ということです。

具体的に、「皮肉法」と「反語法」との区別をどのようにするかに。これについては、参考書によってさまざまです。ただ、おおまかに言って、
  • 「皮肉法」を「トゲのある表現」として、「反語法」とは別々に考えるもの。
     ——これは、“いちばん広い意味”での「皮肉法」のことを「皮肉法」を定義した場合。
         →レトリック用語としては一般的ではない。

     
  • 「皮肉法」イコール「反語法」として、「皮肉法」と「反語法」とを同じものと考えるもの。
     ——これは、“やや広い意味”での「皮肉法」のことを「皮肉法」と定義した場合。
         →この説も有力といえる。

     
  • 「皮肉法」は「反語法」の小分類だとして、「皮肉法」を「反語法」のうちの1つだとするもの。
     ——これは、“せまい意味”での「皮肉法」のことを「皮肉法」と定義した場合。
         →こちらの考え方も有力にある。
という3つのパターンのどちらかを採用している参考書が多いようです。このサイトでは、3番目の定義が採用されています。

このように、「反語法」と「皮肉法」との関係をどのように考えるかについては、十分に統一された考えかたがありません。そのため、私(サイト作成者)の頭の中でも、「皮肉法」と「反語法」との区別が、十分にできているわけではありません。まちがっていることに気がついたら、訂正していくことにします。

深く知る3「皮肉法」に関連したレトリック

もしも。“いちばん広い意味”での「皮肉法」を、「皮肉法」の定義として採用したばあい。人を攻撃する書きかた・話しかたは、全部が「皮肉法」ということになります。

その結果。この“いちばん広い意味”での「皮肉法」には、下位分類に、たくさんのレトリックが並べられることになります。

つまり、“いちばん広い意味”での「皮肉法」には、さらに下位分類として、
  • 冷嘲法:相手の弱点をつき、辛辣に評するもの
  • 愚弄的皮肉:相手を周囲の笑いものにするもの
  • 嘲笑的あてこすり:冷笑するために、露骨ではない微妙に述べるもの
  • 愚弄(愚弄的皮肉):ほめているように見せかけながら、実はけなしているもの
  • 嘲弄:怒りを含んでなされる皮肉
  • 偽悪的讃辞:表面上は非難しているようにみせかけて、実はほめているもの
  • 反語的讃辞:ほめているようにみせかけて、実はけなしているもの
  • 反語的緩和:おだやかにみせかけて、実はトゲがあるもの
  • 反語的期待:一見すると希望を述べているようにみせかけて、実はそのむなしさを表すもの
  • 反語的否認:否定しているかのようにみせかけて、実は肯定を示すもの
  • あげ足取り:相手の言葉じりを反対の意味で使うもの
  • 擬似謙遜法:自分を中傷するような、自分に対する皮肉をするもの
  • 修辞的疑問:断定を強めるために、わざと反対の意味の疑問文で表現するもの
というように、いろいろと並べることになります。さらに、これを書く際に参考にした『レトリック認識』(佐藤信夫/講談社)によると、
しかも、これで枚挙をつくしたわけではないのだ。
とのこと。「昔の修辞学者たちは、よくこんなに思いついたなあ」と思うくらい、いろいろ下位分類をならべることができます。

深く知る4「皮肉法」に関連したレトリック
「皮肉法」は、ワザと本心とは逆の表現をするものです。そして、そのようなレトリックは他にもあります。

第1に「虚言」。つまり、ウソをつくというレトリック。

第2に「緩叙法(一重否定)」。伝えたいことと反対のことを否定することで逆に、もともと伝えたかったことが強調するレトリック。

第3に「緩叙法(二重否定)」。否定することばを否定することによって、肯定をあらわすレトリック。

くわしいことについては、それぞれのページを参照してください。

なお。ここに「虚言」という「ウソをつく」レトリック用語が、ならんでいることからも分かるように。「皮肉法」は、一種の「ウソ」です。思っていることとは逆のことを話すということは、「ウソ」だということもできます。

ただし。「ウソ」は、バレると失敗ということになります。ですが「皮肉法」は、相手にバレないと失敗です。その点では、「皮肉法」は、たんなる「ウソ」とは違います。

深く知る5「イロニー」とか「アイロニー」とか
なお。

この「皮肉法」の訳が、「アイロニー」となっている場合と、「イロニー」となっている場合があります。ですがこの違いは、元になっている言語に違いがあるだけです。

「アイロニー」のほうは、英語の発音を写したものです。それにたいして「イロニー」のほうは、フランス語とドイツ語の発音を写したものです。ただ、そういう違いがあるだけです。内容に違いがあるわけではありません。

深く知る6このサイトでは書ききれないこと
もう、長くなってきたので。これ以上のことを書くのはやめておきます。

このサイトで書かなかったことのうち、いちばん問題となること。それは、「ことば通り」のことと「暗に示している内容」とが「正反対」ではないものを、どのように考えるかといったところだと思います。

なのですが。これを書きはじめると、  の3つでは、とうてい収まりません。なので、このサイトでは省略しておきます。



レトリックの呼び方

呼び方5 皮肉法(皮肉)・反語法(反語)・イロニー・アイロニー
呼び方2 反用法(反用)



関連レトリック

偽悪的讃辞反語的讃辞、反語的緩和、反語的期待、反語的否認あげ足取り修辞的疑問、冷嘲法、愚弄的皮肉、嘲笑的あてこすり、愚弄、嘲弄、迂言法虚言婉曲語法諷刺

参考資料
このサイトで、とくに参考にした本

●『レトリックの知—意味のアルケオロジーを求めて—』(瀬戸賢一/新曜社)

このサイトを肉づけのときに参考にしたのは、この本です。まあ広い意味では、「ネタ本」といえあす。でも、この本では「イロニーの定義」を7つあげているにもかかわらず、このサイトでの「定義」には4つしか使っていない。書き手がいちばんイヤがる、「つまみ食い」した参考のしかたで引用させていただいきました。こちらは、もっと「皮肉法」を知りたいというヒトにも、オススメできます。というよりも、もっと「皮肉法」を知りたいというヒトが読むべき本です。
そのほかで役に立ちそうな本
●『レトリック事典』(佐藤信夫[企画・構成]、佐々木健一[執筆担当]/大修館書店)

この本は、タイトルどおり「事典」と呼ぶには、かなりクセがあります。つまり、「平均的な考えかた」「一般的な考えかた」が書いてあるわけではないのです。「反語」の項目では、「けなすため」に使うというのでもなく、反対に「ほめるため」というのでもない。「ユーモラス」な効果を出すために用いることができる、ということに話がおよんでいたりします。
●『レトリック辞典』(野内良三/国書刊行会)

こちらの本も、「辞典」というわりには、書いた人の意見について多くのスペースを使っている。けれども、『レトリック事典』よりは、スタンダードなところに説明が行きわたっていると感じます。
以下には、難しいので読みこなせない本をならべておきます
●『新修辞学—反〈哲学的〉考察—』(菅野盾樹/世織書房)

これまでにあった、古くからの「アイロニー」(皮肉法)についての考えかた。その考えかたにたいして、真正面から異論をとなえる本です。そういうなので、昔からある「アイロニー」(皮肉法)の考えかたを知らないと、読むこなすのは難しいと思います。
●『背理のコミュニケーション—アイロニー・メタファー・インプリケーチャー—』(橋元良明/勁草書房)

この本は、ホントに難しくて困った。難しすぎて、まともな本の紹介が書けない。


このサイト全体からのサーチ
 
「使う目的別のページ」の中からサーチ
TOPへ 50音順 使う目的別 佐藤信夫『レトリック事典』の分類 中村明『日本語の文体・レトリック辞典』の分類