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| 緩叙法(選択) かんじょほう litotes | ||||||||||||||||||||||
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| ――『BAMBOO BLADE』1巻50~51ページ (土塚理弘[原作]、五十嵐あぐり[作画] /スクウェア・エニックス ヤングガンガンコミックス) |
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| 緩叙法(選択)は、ひかえめの言いかたを、あえてする。そのことで、逆に真実を強調するものです。 | |||||
| 「緩叙法(選択)」は、表面上だけは控えめなことばをつかうものです。たとえば、「やってもいい」という表現。これは、たしかにオモテ向きは「やってはいけない、というほどではない」といったことを表しています。ですが、このフレーズによって実際には「ぜひとも、やってほしい」ということを示すことができます。これが、「緩叙法(選択)」とよばれるものです。 | |||||
| 上にも書きましたが。「緩叙法(選択)」は、強調をするために使われるものです。けれども、使われている言いまわしは、控えめな弱いものです。つまり、使う目的は「強調」のためのもの。他方、その手段は「控えめ」な表現だということになります。このことから、「緩叙法(選択)」は、間接的で遠まわしな表現だということができます。 | |||||
| これは、「緩叙法(選択)」が間接的な表現だということと関連するのですが。遠まわしに言うことで、話し手の真意がどこにあるのかを「ぼやかす」ことができます。 | |||||
| 「緩叙法(選択)」は、ものごとをダイレクトには伝えないという性質のものです。このことから「緩叙法(付加)」の使い手に、ある程度の性格とかキャラクターといったものを、与えることができます。具体的には、「冷静」だとか「ものに動じていない」といったものです。 | |||||
| 自分に対して「緩叙法(選択)」を使ったばあい。つつしみがあるとか、謙遜しているといったことをあらわすことができます。 | |||||
| 「緩叙法(選択)」を、自分以外のヒトに使うと。これは、時として「皮肉」になります。 | |||||
| 「緩叙法(選択)」では、伝えたいことをストレートに言わないで、その伝えたいことを弱めます。ですが、表面上は弱めていながら、そのことによって、逆に、もともと伝えたかったことが強調されることになります。ここで「伝えたいことを弱める」という点は、「緩叙法(付加)」と同じです。けれども、「緩叙法(付加)」のばあいには、伝えたいことを弱めるために、「少し」とか「ちょっと」のような「弱めるための副詞」がつきます。ですが、「緩叙法(選択)」では、そのような副詞を使わないで、表現を弱めることになります。 | |||||
| この「緩叙法(選択)」は、「文字どおり」に伝えるものではありません。ですので、そこにたどり着くまでに展開してきた、「シーン」、「状況」、「それぞれのキャラクター」といったものが、重要となってきます。読み手(聞き手)の側に伝わっている、これらのものがあるからこそ、「緩叙法(付加)」の使われたときに。今までの情報とは大きく食い違っていることに、読み手(聞き手)が気がつく。そして、もしかしたら「文字どおり」ではない表現なのではないかと考える。と、そういった順序をとるわけです。なので、「緩叙法(選択)」というレトリックにとって、話の流れというのは、とても重要なものとなるのです。 | |||||
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| このページの最初に引用したのは、『BAMBOO BLADE』1巻です。 主人公は、川添珠姫。高校一年生。 なのだけれども、引用のシーンは川添珠姫と全く関係がない。ここでの中心人物は、ダンくんになります。そして、この場所は剣道場。 ダンくんは、珠姫と同じく高校1年生。新しく入る部活を決めようとしていた。いまダンくんが剣道場に足を運んでいるのは、たんに友だちのユージが剣道部に入りたがっているから、いっしょについてきただけ。 ダンくんが入りたがっているのは、卓球部だった。しかし、ここで1つの(重大な)問題が明らかになる。なんと、 この学校には、卓球部がないことが判明したのだ。 これを知ったダンくんは、すごく落ち込む。そんなダンくんにたいして、(剣道部部長の)キリノが声をかける。いわく、 とのこと。 さて、ここで「緩叙法(選択)」が登場します。 「卓球のラケット」と「竹刀」。それは、たしかにどちらも「木」ではあります。そして、卓球は「木(=卓球のラケット)を振りまわす」競技であるし、剣道は「木(=竹刀)を振りまわす」競技だともいえます。 ですが実際は、あまりにかけはなれた競技です。この2つを一緒のジャンルに含めるのには、かなり無理があります。そのため、卓球と剣道とが大きくかけ離れていることが(キリノの考えとは反対に)誰の目にも明らかになってしまうという結果を招いています。つまり、卓球と剣道の違いが誇張されるという事態が生じることになっています。 そんなわけで、このシーンを「緩叙法(選択)」の例文とします。 |
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主人公は、星華。 「星華」は、女子高生でありながら探偵をしているという女の子。 その探偵事務所に、ひとつの依頼がくる。それは、「とある男性アイドルのプライベートを教えて欲しい」とのこと。 実際に依頼主のところへ行くと、そこで「星華」を待っていたのは、小学5年生の女の子。名前は「えみり」。 「えみり」は心臓の病気で、医者から「あと1ヶ月の命です」と宣告されている。だけれども、その男性アイドルをテレビで観るようになってから、だんだん明るく生き生きしてきたという。 普段であれば「星華」は、このようなアイドルの素行調査みたいなものは断っている。だけれども、そのような女の子の様子を聞いて、考え直し、依頼を引き受けることにする。 そして、依頼主である「えみり」のところにそのことを伝えに行ったのが、引用のシーン。 住所とかとか「星華」が引き受けるための条件を言う。それに対する「えみり」の回答が、「緩叙法(選択)」にあたる場面です。 しゃーないなというふうに、「えみり」は言う。だけれども、本当はとってもうれしいのです。なので、これは「緩叙法(選択)」にあたります。 つまり、表現の上ではうれしさを表に出していません。ですが実際には、とっても喜んでいるという表現になっています。 実際、次のコマでは「とってもうれしい」と言っているし。 |
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| 「緩叙法(広義)」には、つぎの性質があるとされています。 ようするに、使う目的は「強調」だということです。これは に書いたとおりです。 また。 細かい点については、すぐ下の に書いてあります。 これは、遠まわしな表現が用いられるということです。これもすでに で、ふれています。 なお。 くわしいことについては、 に記しておきました。 |
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| このページで扱っている「緩叙法(選択)」と、「誇張法」との関係をみると。たしかに「緩叙法(選択)」は、結果として強調されるという効果をねらったものです。そして「誇張法」についても、その名前どおり「誇張」をするために使われるものです。 しかし。「緩叙法(選択)」は、「誇張法」とは正反対の表現を使うものです。 「緩叙法(選択)」は、うわべだけは「控えめ」の表現を使います。言いかえれば、見た目は「弱めた」ことばづかいだといえます。ですが、これに対して「誇張法」は、「まっ正面から言いたてる」ものになります。「歯に衣を着せない」というわけです。 いいかえれば「誇張法」は、「より強く」表現するためのの。これに対して「緩叙法(選択)」は、「より弱く」あらわすもの。ということになります。 そして、このことから、2つのことを導きだすことができます。 ひとつは、ことばを額面どおり受けとったならば、「完全に反対」のものだということです。つまり、より強い言いかたを目ざす「誇張法」にたいして、より弱い言いまわしを求める「緩叙法(選択)」。その意味では「完全に反対」のものです。 もうひとつは。文字どおりの表現から遠ざかってるという点を考えると。この2つは「一致する」ものだということです。一方で、「文字どおり」の言いかたよりも、「もっと強い」表現へとズレていく「誇張法」。もうひとつは、「文字どおり」の言いまわしよりも、もっと「弱い」表現へというベクトルに進んでいく「緩叙法(選択)」。 これを、数直線にたとえて説明するならば。「文字どおり」という原点から、プラス方向に進んでいくのが「誇張法」。逆に、原点からマイナス方向に移動していくのが「緩叙法(選択)」。そのどちらとも、絶対値が増えていくという点では同じなのです。 ですが、どちらにしても。 「文字どおり」の表現から外れていくことには、かわりありません。ですので、「誇張法」にしろ「緩叙法(付加)」にしろ。ワザと、「文字どおり」の言いまわしと「実際に伝えたい内容」とが、一致しないようにしているといえます。ですので広い意味では、「緩叙法(選択)」と「誇張法」は、両方とも「ウソ」をついていることになります。 |
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| 同じように、「緩叙法(選択)」と「誇張法」をくらべると。「緩叙法(選択)」は、見た目だけは控えめな表現をしています。そして「婉曲語法」も、同じように消極的な言葉づかいをします。 ですが。「緩叙法(選択)」は、「婉曲語法」とは反対の効果を目ざしたものです。 どういうことかというと。まず「緩叙法(選択)」のほうを見ると、その目的は「強調するため」です。つまり、できるだけ相手の印象に残るように使われます。しかしながら「婉曲語法」のほうを考えてみる。するとこちらは「露骨にしないため」に使われるものとなります。言いかえれば、できるだけ相手の印象に残らないようにするためのもとだということになります。 このように、「婉曲語法」と「緩叙法(選択)」とは、逆を目ざしているものなのです。たしかに、表面上は「控えめな」表現をしている。それは「婉曲語法」であっても「緩叙法(選択)」であっても同じです。けれどもその効果は、全くさかさまのものなのです。 |
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| 緩叙法 | |||||
| 曲言法(※注) | |||||
| ライトティーズ | |||||
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| 緩叙法(広義の)、緩叙法(一重否定)、緩叙法(二重否定)、緩叙法(付加)、指小辞、古語法 |
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| このページの「ネタ本」です。70~80%くらいは、この本を参考にして書いてあります。 | |||
| 「緩叙法」の特徴について、「(1)誇張法」「(2)婉曲語法」「(3)反語法」という3つをあげるもの。この考えかた自体は、ポピュラーなものです。平均的なことを網羅しているということで、この本をあげておきます。 | |||
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