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| 逆説法 ぎゃくせつほう paradox | |||||||||||||||||||
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| ――『D・N・ANGEL』4巻51ページ (杉崎ゆきる/角川書店 あすかコミックス) |
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《定義》 逆説法は、パッと見た目には非常識に思えるけれど、よく考えると理にかなっているというレトリックです。 つまり、世間で一般的なことと、正面から反対のことを言うことによって、そういった別の考え方もできると思いなおすものです。言いかえれば、一般には真実だと思われていることと逆のことを言って、そこにも真実が含まれていることを伝えるものです。つまり、
この「逆説法」は、たんに「逆説」と呼ぶこともあります。 《例文を見る》 例文は『D・N・ANGEL』4巻から。 右に書いた文章は、44~51ページからの引用という、長いものです。長く引用をするべきか短く書こうか迷いました。ですが結局、長い引用のほうを選択しました。これは、状況がつかめないと「逆説法」が使われているシーンが把握しづらいだろうという考えからです。 長く引用したのですが、さらに補足。 主人公は「丹羽大助」。 大助の家系は、怪盗を稼業としている一族。14歳になると、怪盗をはじめることになっている。今は、大助が怪盗をしている。 しかし、じいちゃんが14歳の頃には、じいちゃんが怪盗をやっていた。 そこで出会ったのが、瑪瑙という名前の子。 以下は、引用したとおりのストーリー展開になっています。 で、そのことについての、じいちゃんの意見が、 幸せにする嘘というのもというもの。ふつう「嘘」というのは、イケナイことです。「嘘はドロボウのはじまり」という言葉もあるし。なぜか私(サイト作成者)目のつくところにおいてある「六法」の刑法を見れば、「嘘」がいたるところで罪となっています。
ですが、ここに「幸せにする嘘もある」という言葉が投げ込まれる。すると、常識的には「良くない」ことだったはずの「嘘」が、「良いこと」の一面も持っていることになる。そして、その考え方にも一理あると思わせられる。これが「逆説法」です。 《レトリックを深く知る》 これより下には、こむずかしい話がならびます。 【0.「通念」ということばについて】 まず最初に1つ、言葉の解説をしておきます。それは「通念」という言葉です。 これから先、ここのページの解説の中で、「通念」という言葉を連発します。この「通念」というのは、「一般的な考え方」「常識的な考え方」というような意味だと思って、読んでみて下さい。 【1.「パラドックス」と「逆説法」】 「逆説法」は、「パラドックス」とよばれることもあります。これは、この「逆説法」の英訳が「paradox」になっていることからも分かることです。 ですがふつう、「パラドックス」ということばと「逆説法」ということばとは、区別してつかいます。『新明解国語辞典』の説明によると、つぎのような分けかたをするそうです。 とのことです。 このように言葉を使い分けて区別するのが、一般的のようです。 そして、もちろんこのページで扱うのは、「パラドックス」のほうではなくて「逆説法」のほうです。上で「パラドックス」といっているのは、ふつう哲学とか論理学で使われるものです。しかしレトリックでは、「逆説法」を意味することばとされています。 なお、"paradox"の語源について書いておきます。 この言葉の語源はギリシャ語。前半の「パラ」は「~に反する」という意味。後半の「ドクサ」は、「常識」「通念」といった意味。 なので、2つ合わせて「常識に反する」とか「通念に反する」といった意味になります。 【2.「逆説法」についての説】 この「逆説法」には、従来からの説と、新しい説とがあります。ですので、両方ともならべて書いておくことにします。 ○従来からの説 従来からの説は、「対義結合」と「逆説法」とを、同じカテゴリーに入れる考え方です。これによれば、
このサイトでは、この説にしたがって「対義結合」と「矛盾語法・撞着語法」と「逆説法」について解説しています。 ○新しい説 しかし、これに反対する新しい意見も登場しています。これによれば、
【3.「逆説法」と論証のかたち】 この「逆説法」は、たいていのばあい論証抜きのかたちをとります。つまり、「大前提」→「小前提」→「結論」という論証をふむことのない、断定のものとなります。その意味で「三段論法」という言葉と対比するならば、「一段論法」ということになります。 そしてそれは、社会にある通念と比較するまでもなく、直感的に「逆説」だと分かるためです。そのために、たいていの場合には、論証がない「一段論法」で「逆説」を用いることができるのです。 このことから、言葉が通念とは、深く結びついていると言えるでしょう。 【4.参考図書】 なお。 この「逆説法」については、2冊の本をおすすめしておきます。 まず1冊目。「従来の説」をとっているものについては、 『レトリック認識(講談社学術文庫 1043)』(佐藤信夫/講談社)をおすすめします。「第5章」が「対義結合と逆説」というタイトルになっていることからも分かるように、「対義結合=逆説」という立場をとっています。 次に2冊目。「新しい説」ととっているものについては、 『修辞的思考―論理でとらえきれぬもの―(オピニオン叢書44)』(香西秀信/明治図書)をおすすめします。「第二話」が「逆説は通念に寄生する」というタイトルになっていることからも分かるように、「逆説法」が「真実」に代わることはできない、という立場をとっています。 |
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| 関連項目→対義結合、異例結合 | |||||||||||||||||||
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