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迂言法 うげんほう periphrasis
――『なんて素敵にジャパネスク』5巻131~132ページ(山内直美・氷室冴子/白泉社 花とゆめCOMICS)
帝(鷹男) 今日はここに
すべてあるように…
吉野君
…」
黙礼)
――(ここ4コマ飛ばします)――
瑠璃姫
……)
帝という
尊い身なので
鷹男は遠回しに
物を言ってるけど
吉野君が
これから承香殿で
読経するというのは
あたしにもわかる…)
――『なんて素敵にジャパネスク』5巻131~132ページ
(山内直美・氷室冴子/白泉社 花とゆめCOMICS)

 《定義》

迂言法は、わざと回りくどい表現をするレトリックです。
つまり、簡単に言おうと思えばできるのにもかかわらず、わざわざ、もって回ったような言いかたをすることです。別の言いかたをすれば、情報を伝えるということだけを考えれば簡単に表現できることを、遠まわしに語るというものです。

ふつうならば一言で伝えられるものを、わざと長々しく言うことになります。

表現している人が優雅であったりとか、上品であったりだとかいうことを示すなどの効果があります。



 《例文を見る》

例文は『なんて素敵にジャパネスク』5巻。

ここは、平安時代の宮廷。主人公は「瑠璃姫」。

そして、相手の「鷹男」。彼は、瑠璃姫の前では「鷹男」として低い身分であるかのようにふるまっているが、実は「帝」であるという設定。

で、引用は。その「鷹男」こと「帝」が、ほんらいの立場である「帝」として発言する場面。
なのですが。
今日はここに
すべてあるように…
としか言っていません。大きさの関係で前のほうまで画像を引用できないので、サイトの読者には「何のことやらサッパリ分かりません」という状態です。

でも、とっても親切なことに、続きを見てみると。
その言葉が実際のところ、どういうことを意味しているのか。それが、瑠璃姫の考えとして、解説してあります。「すべてあるように」というのは、「読経しなさい」という意味なのだそうです。

解説してあるから分かるようなものの、「すべてあるように」という言葉が「読経をするように」という意味だということは、その場にいなければわかりません。

こんなふうな遠回しな言いかたが、「迂言法」にあたります。



 《レトリックを深く知る》


 【1.「迂言法」が使われる例を細分化】

このレトリックが使われる例を細かく見てみると、
  1. 礼節のため・礼儀のため
    (露骨な表現を避けるということで、「婉曲語法」と重なる面がある)
  2. もっと詳しく説明するため
    (「敷衍」と微妙な関係にある)
  3. 文章を飾り添えるため
    (主に詩作品で、詩を優雅にするようなはたらきをする)
  4. やむにやまれぬ必要に迫られて
    (翻訳などで、原文の言語にある語にピッタリする言葉が訳者の言語にない場合などに使う)
というふうに細分化することができます。ですが多くの場合には、はっきり区別することは出来ません。

なお。
上で引用したシーンを、上に書いた「1.」から「4.」までの中で分類すると。これは、「1. 礼節のため・礼儀のため」に当てはまるでしょう。


 【2.「迂言法」がもっている「皮肉」の性質】

なお、今回の引用の場合には当てはまりませんが、
「あの大学は、高級官僚養成機関だ。」
のような場合のように、遠回しに言う「迂言法」を使うことで皮肉を意味することもあります。



 《駄文》

そろそろ少し古くなりかけていますが、気になっているものが1つ。

『げんしけん』というアニメとコミックスがありました。
で、アニメのほうを見ていて、コミックスでは書かれていないことで気になっていることがあった。それは、各話のタイトル。

ならべてみると、
第1話 : 「現代における視覚を中心とした文化の研究」
第2話 : 「消費と遊興による現代青少年の比較分類」
第3話 : 「地域文化振興の問題点とその功績」
第4話 : 「扮装と仮装の異化による心理的障壁の昇華作用」
第5話 : 「自律行動に見る排斥と受容の境界」
第6話 : 「サブカルチャーをめぐる他者との関係論」
 ※第7話から先も、同じようなタイトルが続いているので省略
というようなものになっている。以上、「げんしけんオフィシャルサイト」(http://www.genshiken.info/)からの情報です。

さて。
明らかに不自然です。誤解している人はいないと思うけど、上に書いたのはアニメの各話タイトルです。決して、文化人類学の論文のタイトルではありません。だから、明らかに不自然。
なんでまた、こんなに回りくどいのか。それはナゾですが、ここでは触れないことにします。

問題は、「ここで使われているレトリックは何か?」ということ。

結論から言うと、このページが「迂言法」であることからも分かるように、「迂言法」が最も近い、という結論に達しました。しかし、「婉曲語法」「虚辞」など、さまざまな「レトリック」が頭をかけめぐりました。しかしどれも、ちょっと近いようでもあり、また何か違うようでもあり、ということで悩みました。

実を言えば、「迂言法」という結論も微妙です。少なくとも、プロトタイプの「迂言法」ではないとは思います。もしも、このタイトルたちがアニメの内容と完全に切り離されたものであれば、「虚辞」に当てはまります。つまり、「お堅い言葉を並べ立てただけでタイトルに意味はない」と考えるのであれば、「虚辞」です。

けれども、私(サイト作成者)は「それなりには意味を運んできているのだろう」と受け取って、「迂言法」に分類しました。たとえば、第1話は、「現代視覚文化研究会」=「現視研(げんしけん)」という大学のサークルに入るという話の展開。いちおう、「現代における視覚を中心とした文化の研究」というタイトルと関わり合いがあると言えます。

ですので、全く意味を持たないと見る「虚辞」ではなく、遠回しでまわりくどいと考える「迂言法」に分類しました。
関連項目→婉曲語法稀薄法代称・ケニング、遠曲語法、抑言法、転喩含意法、美化法、皮肉法
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