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伏線 ふくせん preliminary
――『この手をはなさない』前編[上]15ページ・[下]135ページ(小花美穂/集英社 りぼんマスコットコミックス)
【(上)――小学生の時の回想シーン】

由香子ちゃん」
由香子ちゃん?
動物園…」
(手紙)  恒くん
ごめんね さよなら)
  ――突然の別れ


【(下)――数年後、由香子と再会するが…】
(手紙) 恒くん ありがとう
これ以上 お世話に
なれません
捜さないで下さい 由香子)
カラン
ガタッ
カラーン…
(恒の思い出) 恒くん ごめんね さよなら)
恒  …また…か…?」
――『この手をはなさない』前編
[上]15ページ・[下]135ページ
(小花美穂/集英社 りぼんマスコットコミックス)

 《定義》

伏線は、あとのほうでおこる出来事のマエフリをおくレトリックです。
うしろにつづく話の展開を補強することになるような情報を、前のほうであらかじめ用意しておいておくことになります。

反照法」や「照応法」などと同じように、作品全体の配列に影響を与えるレトリックの一つです。また、「情報待機」などを伴うこともあります。



 《例文を見る》

例文は『この手をはなさない』前編。

あの、まあ、伏線について解説を書いていきます。書きますが、それはネタバレになるんではないかと思うんです。伏線の解説をするのって、話のあらすじを解説しているのと同じだもん。
でも、まあ、書きます。

まず【(上)――小学生の時の回想シーン】から。
主人公の恒が、まだ小学生のころ。恒は由香子を動物園でのデートに誘った。デート約束の当日の朝、由香子の家に行ってみると、そこには誰もいない。ただ、
恒くん ごめんね さよなら
という置き手紙が残っていた。いきなり失踪してしまった由香子の家族は、そのアパートから忽然といなくなってしまったのだ。

それを引き継いで【(下)――数年後、由香子と再会するが…】。
そんな「初恋」の気持ちを、心のどこかに残していた高校三年生の夏。偶然にも、恒は由香子と再会する。しかし由香子はサラ金業者から追われる身になっていた。そこで恒は、親から譲り受けたなけなしの遺産で、サラ金業者からの借金を代わりに払い、由香子を借金から解放しようとする。

しかし誕生日の翌日、由香子の姿はなかった。ただ、
恒くん ありがとう
これ以上 お世話に
なれません
捜さないで下さい 由香子
という置き手紙が残っていた。フラッシュバックする過去の思い出。小学生の時の、
恒くん ごめんね さよなら
と書かれた置き手紙の思い出がよみがえる。

…うう。やっぱり、作品ネタバレの解説になってしまったよー。でも、だいじょうぶ。「前編」の部分のあらすじだけしか書いていません。作品に興味を持った人は、後編も読みましょう(と、広告をしておけば許してもらえるか? ネタバレを…)。

いずれにしても、ここで書いておきたいこと。それは、以前に書かれた「手紙」が「伏線」になっているということです。

小学生の時、「手紙」だけが残されて由香子はいなくなってしまった。それと同じことがおこる。由香子はまた、「手紙」を残していなくなってしまう。そこに、「伏線」をみるわけです。
関連項目→反照法照応法、情報待機、未決誤解誘導
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