藤田たかひろのこの一文・一冊

2007年、新年にあたって
「軍事優先の安倍政治を許すな」
三多摩護憲ネット・代表委員 大下 勝正



 新しい年を迎えて、さらに一層護憲の決意をあらたにしたいと思います。

■憲法改悪へ突き進む安倍政治

 安倍晋三首相は、就任早々、任期中に憲法を改定すると公約しました。

 昨年末の国会で、教育基本法の改定、防衛省の設置の二大案件が可決された際には、 首相は、戦後六十年をこえて大きく前進したことは有意義だったと表明しています。 そして、ひきつづき集団的自衛権の解釈変更や自衛隊の海外派兵を容易にする恒久法の制定をめざす考えを明らかにしました。

 これらによって憲法九条を完全に空洞化し、あとは最終目標の憲法改悪にむかって、真っしぐらに突きすすむ魂胆でしょう。

■福祉優先の政治へ方向転換を

 このように、軍事優先の政治体制が既成事実として進行しつつあります。

 昨年五月には、日米政府間で、長期的な在日米軍再編の行程表が最終合意されました。この計画遂行のために、 日本は二〇〇七年度より、総額約三兆円の負担を約束しています。

 その上、さらに防衛省昇格にふさわしい日本独自の軍備増強にも、こんご何兆円もの軍事予算を優先支出することは必至です。

  この膨大な軍事予算を捻出するために、そのしわよせを最も大きくうけるのが、福祉の予算です。この傾向は、すでに近年の予算編成にもあらわれています。 

  こんご、年を追って軍事予算が増大すれば、それに反比例して福祉予算が制限されることになり、これからの日本財政は、ますます福祉優先か軍事優先かの二者択一 を迫られることになるでしょう。

 その最大の転機となる憲法改悪を、何が何でも阻止し、軍事優先の政治体制を排し、福祉優先の政治へ方向転換させねばなりません。

■愛国心の強要は戦争への道

 同時に、自民党政府は軍事優先の政治体制を徹底するには、青少年の愛国心を高揚することが第一だと考えています。

   いざ、戦争となれば、戦力の中心となるのは十代から二十代の青少年です。これらの青少年は、徹底した思想教育で、大きな影響をうけます。私たち、戦前戦中の軍国主義教育をうけたものが、何よりの証拠です。私たちは、教育勅語を中心とした忠君愛国の教育をうけて育ちました。「国のために」という大義名分の、美辞麗句にまどわされ、心の底から戦場で死ぬことを美化し、名誉とさえ信じ込まされていました。そして、実に多くの青少年が戦場におもむき、犠牲となりました。 

 この過ちを、未来ある青少年に絶対にくり返させてはならない。それには、私たち悲惨な戦争を体験したものが、声を大にして、戦争を知らない、いまの青少年に訴えつづける責務があります。 

■「国のために」の裏の事実

 また、いまさかんに愛国心が強調されていますが、その裏には「国のために、役立つ人になれ」という意味が込められています。

 「国の役に立つ人」とは、具体的にどういう人をいうのか。いざというときに、銃を持って戦場に行くことのできる「五体満足な人」ということです。

 戦時中に、「五体不満足な、しょうがない者」は、ごくつぶし、非国民と、面とむかってののしられたと、『もうひとつの太平洋戦争』(立風書房)を編集発行した、推理作家の故・仁木悦子さんは記されています。

 軍事優先の政治体制下では、いかに人権が無視され、踏みにじられたか、仁木さんは詳しくのべられています。「国のために」という言葉が叫ばれれば、叫ばれるほど、その裏にかくされている真実を見抜くことが、何よりも大切です。

■人権・福祉の憲法を守り抜く

 さらに、戦前は「国のために」は「天皇陛下のために」と一致していました。誰のためかが、はっきりと示されていました。いま、抽象的にいわれている「国のために」は誰のためかが、明らかにされていません。具体的に「誰のため」なのか、はっきりさせることも大切です。

 私たちは、何よりも「人権福祉を優先尊重する平和憲法をまもり抜くために」、この一年を力の限り頑張って参りましょう。

(おおした・かつまさ、元町田市長、町田市在住)