 |
ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ全集 vol. 2
ジャン=ジャック・カントロフ(ヴァイオリン)
上田晴子(ピアノ)
|
|
ヴァイオリン・ソナタ第6番 イ長調 Op. 30-1
[1] Allegro
[2] Adagio molto espressivo
[3] Allegretto con variazioni
ヴァイオリン・ソナタ第7番 ハ短調 Op. 30-2
[4] Allegro con brio
[5] Adagio cantabile
[6] Scherzo. Allegro
[7] Finale. Allegro - Presto
ヴァイオリン・ソナタ第8番 ト長調 Op. 30-3
[8] Allegro assai
[9] Tempo di minuetto, ma molto moderato e grazioso
[10] Allegro vivace |
|
ALCD-7155
レコード芸術特選盤
録音:2010年3月15-16日 キラリふじみ |
|
| このたび指揮活動への専念を発表した世界的名手、ジャン=ジャック・カントロフがヴァイオリニスト人生の集大成として挑むベートーヴェンのソナタ全曲録音プロジェクト第2弾。パリ国立高等音楽院在任当時の同僚で、デュオとして数々の名演を残してきた上田晴子とのアンサンブルは才気にあふれ、圧倒的な緊張感としなやかな時の流れが自在に交錯する。 |
| ご購入はこちらから→ ALM record |
 |
|
≪紹介記事より≫
レコード藝術2011年5月号 「特選」
カントロフ=上田晴子によるベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集第2巻で、作品30の3曲が収録されている。長い間コンビを組んでいるだけに、二人はお互いの感情の交流に無理がなく、いわば「大人の演奏」とでも呼びたいアンサンブルを聴かせてくれる。
カントロフの演奏は何よりも音色が美しく、いつも澄んだ響きが音域を問わずに保たれている。上田の演奏も音色と表情がこまかく変化し、それが堅固な意思と結びついて強い推進力を生み出すと同時に、表情を抑えた場合に見られる繊細な感覚と結びついて表現の幅を広げている。
その意味で二人の演奏が最も特徴を発揮しているのはイ長調ソナタ作品30の1の第2楽章で、音色の変化と表情の変化が結びついて、すっきりとした、しかも優美な演奏が展開される。またハ短調ソナタのフィナーレ、アレグロ・プレストでは二人がハ短調の調性の特徴を生かして演奏し、美しい緊張感とすっきりした表情が結びついて、対話の妙味を生かしている。
それと対照的に、ト長調ソナタ作品30の3の第1楽章では緊迫した楽句とのびやかな楽句と対照を生かしながら演奏し、第3楽章ではピアノが転調の魅力を十分に生かしている。すっきりとした、同時に力強い演奏は作品30を締めくくるのに相応しい。(高橋昭) |
| |
|
| |
1年前の第3−5番でスタートしたカントロフと上田晴子によるベートーヴェン・ツィクルス第2弾は作品30すなわち第6−8番の3曲。今回も良きコンビの持ち味をあますところなく示す、すばらしい演奏だ。
最大の強みはピアノもヴァイオリンも音が美しいことだが、それを生かすも殺すも両者の連携次第であることは言うまでもない。二人はその目鼻立ちのくっきりした、いわば美形の音楽を繰り広げつつ、同時にスコアにぐいと踏み込んで、彫りの深い表現を達成している。ヴェテランならではのリラックスしたデュオが実現できていることが、その背景にあるだろう。
とりわけソナタ第6番アドージオが苦笑の開け放たれた空気や、続く変奏曲の自由な広がりなどに、このコンビの美質が良く出ている。
デモーニッシュな第7番は、一見、3曲の中ではデュオのキャラクターにマッチしにくい作品と思われるが、実際には劇的な要素を巧みに処理するカントロフの懐の深さが物を言って、これはこれで説得力十分。
最後のソナタ第8番ではヴァイオリンもピアノものびのびと飛翔し、嬉々とした会話が重奏の楽しさをあるがままに伝える。表情のこまやかな第2楽章メヌエットから、めくるめくフィナーレへの流れがすばらしい。(大木正純) |
|
 |
ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ全集
Vol. 1
J.J.カントロフ(ヴァイオリン)
上田晴子(ピアノ)
ベートーヴェン:
[1]-[3]ヴァイオリン・ソナタ第3番 変ホ長調 Op. 12-3
[4]-[6] ヴァイオリン・ソナタ第4番 イ短調 Op. 23
[7]-[10] ヴァイオリン・ソナタ第5番 へ長調 Op. 24《春》
ALCD-7143
レコード芸術特選盤
録音:2008年11月20-21日 彩の国さいたま芸術劇場
|
|
カントロフの最新録音!至高のデュオが贈る気韻生動たる円熟のベートーヴェン
世界的ヴァイオリニスト カントロフと、パリを拠点として活躍するピアニスト上田晴子によるベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集シリーズがスタート。カントロフ最新の録音には豊かな気品と風格が満ち、聴く者をとらえて離さない音楽の躍動がある。長年デュオを組む上田晴子のピアノも圧巻のアンサンブルを繰り広げる。 |
| ご購入はこちらから→ ALM record |
 |
|
≪紹介記事より≫
レコード芸術 2010年5月号 「特選」
ここ数年来、共演を重ね録音を続けてきたカントロフ=上田のコンビがいよいよベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲録音に着手した。このCDはその第1巻で、変ホ長調作品12の3、イ短調作品23、ヘ長調作品24「春」が収録されている。これらのソナタで2人はそれぞれの個性を十分に発揮しながら緊密なアンサンブルを展開している。カントロフは美しい音と潤いのある響きでこまかいニュアンスを生かしながら全体としてすっきり演奏している。一方で上田は一つひとつのフレーズからこまやかな感情を引き出しながら演奏に強い推進力をもたらしている。そして2人のバランスが実に良い。変ホ長調ソナタの第2楽章はその一例で、主題を導入する上田の弱音が美しく、それが落ち着いた情感と結びついている。一つひとつの音を美しく響かせながら旋律を紡いで行くし、演奏が以前より闊達になっている。最近、彼女はパリ高等音楽院で、従来からの室内楽のクラスに加えてピアノのクラスでも教えているようだが、このCDの演奏でも彼女の進境をうかがうことができる。ヘ長調ソナタ「春」では、カントロフが美しい音と引き締まった表情で冒頭から気力の充実した、しかもすっきりとした演奏を展開しているし、上田も音色と表情をこまかく変化させながら演奏するが、それは強い表現意欲と自然に結びついている為に、強い説得力を生み出している。(高橋昭)
この1枚を手始めにソナタ全集がスタートする由。数ヶ月前にはこれまた全集第1弾としてリリースされた漆原啓子&練木繁夫のアルバムと、奇しくもまったく同一曲目である。カントロフと、フランスを本拠とする上田晴子は、共演経験も長い良いコンビだ。ソナタ第3番の第1楽章、表情豊かなヴァイオリンから玲瓏と美しいピアノに受け継がれる第2主題を聴けば、たちどころにそのことは納得されるだろう。旋律美に満ちた第1、第2楽章を受けて、とかく重くごつごつしがちな終曲も、2人のセンスの良さを裏付けるように、若いベートーヴェンの一種の茶目っ気を上品にフォローしている。短調曲第4番はシリアス・モードに深入りしすぎることなく、再上質のサロン音楽の趣。第2楽章のような、微妙な緩急の変化を伴う変幻自在の音楽において、このデュオのしゃれた音楽生がことさら生きてくる。そして第5番「春」、早春に優しく咲き出る花のような冒頭の美しさはたとえようもない。第2楽章も実にチャーミングだ、一方第1楽章の第2主題では、切迫した速いテンポを意図的に強調する。さらに第3楽章主部の異例に遅いテンポもユニーク。そのあたりの解釈に関しては、上田によるライナーノーツに具多雨的に示されている。それを参考に鑑賞するのも、一興かも知れない。(大木正純) |
| |
|
| |
ぶらあぼ5月号 CD新譜ぴっくあっぷ
固い信頼に結ばれた2人の名手が、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集の第1弾に選んだのは初期3作品。溌剌とした才気にあふれ、時折覗く怒りや感傷も、晩年の苦渋にみちたそれとは明らかに異なる。そんな若々しい旋律にカントロフの明るくしなやかな音色がいかにも相応しい。そして「いつかは共演してみたい」と現役の若手奏者達から深い尊敬を寄せられる名アシストぶりは、本盤でも遺憾なく発揮される。時にぴったりとヴァイオリンに寄り添い、時に饒舌に音楽を引っ張り、ここでのピアノは決して「伴奏」ではなく「共演」なのだと改めて教えてくれる。(寺西肇) |
|
 |
「ミシェル・アリニョンの至芸」
・・・レコード藝術準特選・・・
ミシェル・アリニョン(クラリネット)
上田晴子(ピアノ)
プーランク:クラリネットとピアノのためのソナタ
サンサーンス:クラリネットとピアノのためのソナタ
ブーレーズ:クラリネットのためのドメーヌ
ドビュッシー:クラリネットのための第1狂詩曲
ショーソン:アンダンテとアレグロ
マスネ:タイスの瞑想曲 |
|
| ご購入はこちらから→ ALM record |
|
「R.シュトラウス&プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ」
J.J.カントロフ(ヴァイオリン)
上田晴子(ピアノ)
|
 |
 |
|
R. シュトラウス:ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 作品18
[1] I. Allegro, ma non troppo
[2] II. Improvisation. Andante cantabile
[3] III. Finale. Andante - Allegro
プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ヘ短調 作品80
[4] I. Andante assai
[5] II. Allegro brusco
[6] III. Andante
[7] IV. Allegrissimo |
|
| 日本でも毎年のように見事なデュオを聴かせている、ヴァイオリン界の大御所ジャン=ジャック・カントロフとパリ在住のピアニスト、上田晴子。R.シュトラウスが23歳のときに書いたロマンの薫り高いヴァイオリン・ソナタでは、その流麗で透明感あふれる音楽で聴き手を魅了する。一方、陰鬱さと荒々しさが交錯するプロコフィエフでは、息もつかせぬ緊張感に圧倒される。 |
| ご購入はこちらから→ ALM record |
 |
|
≪紹介記事より≫
室内楽の達人の趣
ジャン・ジャック=カントロフは1945年生まれの仏人バイオリン奏者。60年代には各地の国際コンクールで軒並み優勝か上位入賞、パリ管弦楽団のコンサートマスターを勤めた後ソロに転じた。70年代から頻繁に来日、日本コロムビアに数多くの録音を残しているが、近年は指揮に進出、新譜も途絶えがちだった。
R,シュトラウスの「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」、プロコフィエフの「同第一番」を収めた一枚は昨年、ピアノの上田晴子と共演した日本ツアーの好評を受けて製作された。若いと勢いに任せがち、老大家だと追憶に沈みがちの2曲だが、枯れ果てず慌てずのカントロフの語りくちはは絶妙。出過ぎず引っ込み過ぎずのピアノともども、室内楽の会話の達人の趣がある。(日経新聞・池田卓)
|
 |
| |
推薦
R,シュトラウスの変ホ長調ソナタとプロコフィエフのへ短調ソナタの組合せは珍しいが、ここでは両者の性格が対照されると同時に、演奏家の個性が共通の表現を生み出している。
R,シュトラウスののロマン的な音楽を演奏するのにカントロフの美しい音と緻密な響きはきわめて効果的。上田のピアノは音色が基本的に明るく、2人の共演はとにかく重くなりがちなこの曲から繊細な感情を引き出している。カントロフは明快ですっきりした様式の中に強い意欲を込めて演奏し、しなやかなフレージングでこまかな感情の「ひだ」まではっきりと浮かび上がらせる。また上田のピアノは思い切りがよく、のびやかな感情を十分に生かす一方で、表情を抑えて落ち着いた感情の表現にも不足はない。2人の演奏はR,シュトラウスのロマン的な音楽から洗練された表現によって新しい魅力を引き出している。
プロコフィエフのへ短調ソナタでは、2人のセンスのよさが音楽から魅力を引き出している。第1楽章の冒頭から上田は旋律を重々しく弾きながら決して重苦しくならないし、カントロフは張りのある音で表情豊かに演奏している。彼の解釈はこの曲の重厚な性格を生かしながら豊かな感情を引き出している。プロコフィエフの音楽の本質でもある洗練された感覚を生かした演奏は、ロシアの音楽家では出せない表現をこの曲に与えている。(高橋 昭) |
| |
|
|
|
 |
「ブゾーニ:ヴァイオリン・ソナタ第2番」
J.J.カントロフ(ヴァイオリン)
上田晴子(ピアノ)
エネスコ:協奏曲的即興曲
エネスコ:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ニ長調 作品2
エネスコ:ヴァイオリン・ソナタ 断章 「トルソ」
ブゾーニ:ヴァイオリン・ソナタ 第2番 ホ短調
作品36a |
|
| 日本でもたびたび息の合った密度の高いデュオを聴かせてきた名手ジャン=ジャック・カントロフと上田晴子。近年特に積極的にとりあげているエネスコの作品が3曲収められている。「協奏曲的即興曲」はまだ演奏機会の少ない作品だが、あまりにも甘美なその旋律は、「隠れた名曲」と呼ぶにふさわしい。シンフォニーのように壮大なブゾーニのソナタ第2番も、全編にわたって緊張感が漲り、まさに圧巻。 |
|
●エネスコ&ブゾーニの録音に寄せて●片桐卓也(音楽ジャーナリスト)
エネスコにしてもブゾーニにしても、その作品の全貌に触れる事はなかなかなくて、これから再評価が始まる作曲家たちだろう。カントロフと上田のコンビが、常にこうした知られざる作品に共感を示して、圧倒的な感動を与えてくれることは、とても貴重なことである。こうした演奏に触れる事が出来たことで、作曲家の真価が新たに理解されるようになる。再評価はその積み重ねの上に築かれるのだ。 |
| ご購入はこちらから→ ALM record |
 |
|
≪紹介記事より≫
レコード藝術 新譜月評 室内楽曲 特選 2007年10月
このディスクには19世紀末から20世紀初頭にかけて書かれたヴァイオリンとピアノの
ための作品、しかも優れた演奏家である二人の作品が収録されている。
エネスコは言うまでもなく優れたヴァイオリニストだけに、彼が若い頃からこの楽 器のために作曲していたことは理解できる。『協奏的即興曲』とヴァイオリン・ソナ アの断章はいずれもカントロフがエネスコの故国ルーマニアで入手した楽譜にもとづ いているとのことなので、、今のところ唯一の録音である。ブゾーニは、高名なピア ニストであると同時にバッハのクラヴィーア作品をピアノに編曲した事で知られるが、 ヴァイオリン・ソナタ第2番は32歳の時に作曲されている。
エネスコの作品の演奏者としてカントロフは適任である。『協奏的即興曲』ではヴァ イオリンから美しい音色と旋律楽器としての魅力を充分に引出しており,特に即興性を 活かした自由な気分がそれと結びついている。
ヴァイオリン・ソナタ第1番はエネスコが16歳、パリ音楽院在学中の若書きだが、3 つの楽章が明確な性格を持っている第1楽章ではカントロフと上田の気力の充実した演 奏が緊張感とのびやかな感情の交錯する魅力を生かし、第2楽章でも暗い旋律と抒情的 な旋律との対比を生かして演奏に奥行きを与えている。開放感に溢れた第3楽章ではカ ントロフは引き締まった表情で明るい旋律を生き生きと歌い上げ、上田は活気に溢れ たリズムでカントロフをしっかりと支えている。
『断章』ではラプソディックな性格が強く、カントロフは張りのある強音と柔らか い弱音を組み合わせて、この性格を表現している。上田のピアノも美しい余韻を残す タッチで印象的。
ブゾーニのソナタ第2番はこの作曲家につきまとうアカデミックな要素を拭い去るよ うに、柔軟なフレージングで感情の起伏を反映させ、ストレートな演奏では得られな いような魅力を引き出している。第4楽章でコラール旋律を導入する際に、上田は和音 を明確に弾きながら重くなることなく、旋律を力強く、浮かびあがらせている。
(高 橋昭)
|
| |
|
| |
レコード藝術 新譜月評 室内楽曲 特選 2007年10月
高音から華麗な音形ではじけるように下降するピアノの導入に呼応してヴァイオリン が歌い始める。すばらしく美しい音で、やや饒舌とも思えるほど闊達に歌う歌は、し かしながら素敵なメロディ。美しい鳥がとまる枝を探しながら木々のまわりをさえず りながら飛び回っているかのよう。ピアノは風のそよぎであり、それによって揺れ動 く木々の葉なのかも知れない。上田晴子のピアノとジャン=ジャック・カントロフのヴァ イオリンによって演奏されているのは、5分程の小品、ジョルジュ・エネスコの『協奏 的即興曲』だ。コンチェルティーノとリピエーノという関係のアンサンブルではなく、 まさしく小鳥と風がそれぞれに青空を自由に飛翔するといった風情の作品だ。こんな 短い小品を聴くだけでもこのディスクのすばらしさは保証される。
上田=カントロフの二重奏アンサンブルのすばらしさは、前述の洒落たオードブルの 後に続くメイン・ディッシュ、エネスコのヴァイオリン・ソナタ第1番ではっきりする。 3楽章構成の中間楽章はクワジ・アダージオの不思議な音楽で、それ自体が緩急コント ラストのはっきりした複合的構成になっており、独立した小品にもなりうるような魅 力をもっている。それにしてもこのソナタがパリ音楽院在学中の16歳のエネスコの作 品であるとは信じられないような大人の音楽としての表情を示しているのは、やはり カントロフ=上田の表現力のすばらしさであろう。
急緩急の3楽章のソナタの前にオードブルがあったように、デザートとしてヴァイオ リン・ソナタの『断章(トルソ)』がソナタに後置されている。これら前後に配置され た2つの小品はいずれもルーマニアだけで流布しているようなマイナーな出版譜である とのことで、2曲ともカントロフが入手し、独立したヴァイオリン・パートのない楽譜 からのリダクションであるようだ。それだけに類盤がなく貴重なディスクとのいえよ う。
そして、フェルッチョ・ブゾーニのヴァイオリン・ソナタ第2番ホ短調も大変にすば らしい。これほど親しみやすく、スケールも大きく、判りやすい明確な構成で、どこ かベートーヴェンに通じるような構築性を持ち、バッハやベートーヴェンへのオマー ジュさえ聞こえてくる作品は、もっと広く愛聴されてよいだろう。それをカントロ フ=上田の二重奏が説得力のある演奏で示している。
(平野昭) |
| |
朝日新聞 11月15日
ブゾーニは独系伊人、その曲を仏系カントロフと&邦人奏者が料理。旧市街とモダンな町並みが隣り合う店で味わう濃厚なソースと新食材の取り合わせ。懐かしさと新奇さの幸せな共存。(喜多尾道冬) |
| |
日経新聞 11月16日(ディスクレビュー)
20世紀前半に活躍した作曲家兼演奏家2人の作品を素晴らしい集中力と燃焼の激しさで聴かせる。 |
| |
毎日新聞 11月21日(今月 私の3枚)
作品の珍しさ、貴重さ。芳醇な内容を、品位のある演奏が引き立てている。磯山雅 |
|
 |
「ドホナーニ & エネスコ:ヴァイオリン・ソナタ」
J.J.カントロフ(ヴァイオリン)
上田晴子(ピアノ)
エルンスト・ドホナーニ
ヴァイオリン・ソナタ 嬰ハ短調 op.21
ジョルジュ・エネスコ
ヴァイオリン・ソナタ第2番 ヘ短調 op.6
ヴァイオリン・ソナタ第3番 イ短調
「ルーマニア民謡風」 op.25 |
|
ドホナーニもエネスコも、東と西の原理のせめぎあう境界面の上で、仕事をした音楽家だった。(略)
その音楽の深層でくりひろげられている戦いの意味を正確につかみ取りながら、カントロフ=上田晴子は彼らの音楽の価値を、存分に引き出すことに成功している。音楽というものが、感覚と知性のたぐいまれな結合であることを、こんなにもまざまざと思い出させてくれる演奏に出会おうとは!
(中沢新一/ライナー・ノートより) |
| ご購入はこちらから→ ALM record |
 |
|
≪紹介記事より≫
レコード藝術 新譜月評 特選
(前略)は
カントロフ/上田の演奏はこれらの作品の異なる性格を明確に浮かび上がらせるが、それはふたりの強い意欲が細部にまで反映された結果である。ドホナーニのソナタで、カントロフ美しい音で感情の起伏を十分に生かしており、その結果、ロマン的な感情がすっきりと表現されている。
エネスコのソナタ第2番にも同じことは言えるが、第1楽章の屈折した感情を反映をした主題をしなやかな流れに乗せて演奏するので、決して重くならない。上田の美しい和音もそれを支えている。
ソナタ第3番でもカントロフはメランコリックな感情を生かしながら決して重くならない。特にヴァイオリンを柔らかに響かせながらルーマニア風の旋律を歌わせているのが魅力的。上田もヴァイオリンを支えながら、独自の感情表現で演奏全体の説得力を高めている。(高橋昭)
|
| |
ジャン=ジャック・カントロフのヴァイオリンの冴えに久しぶりに出会ったという印象が強い。かつてモーツァルトやベートーヴェンの作品の古典派作品で知性と感性溢れる精緻な音楽作りを見せていたカントロフがその後しばらく姿を見せなくなっていた感がするのだが、それはソリストとしての活動から指揮者としての活動にシフトしたからだったのかもしれない。しかし、今回、上田晴子のピアのと組んでの3曲のソナタでさらに表現を深めたカントロフに再会したという思いだ。
相変わらずカントロフのヴァイオリンは透明度の高い美しい音を維持している。中高音には紛れもないかつてのカントロフの響きがあるが、今回の収録の作品の特性でもあるが、中低音での重要な表現においても豊かな感情を持った音が聴かれる。多くの優れたヴァイオリニストとの共演で傑出した才能を発揮している上田がここでもカントロフと見事な呼吸を見せている。例えば、ドホナーニの「嬰ハ短調」ソナタ終楽章のヴィヴァーチェ・アッサイに見せる緩急変化の著しい音楽表現でも素晴らしいバランスとコントラストあるアンサンブルを展開している。とりわけ急速なパッセージでの両者の掛け合いなどスリリングな盛り上がりをみせる。エネスコ作品第2番「ヘ短調」と第3番「イ短調」の2曲のソナタが取り上げられているエネスコ特有のピアノ書法による高音域と低音域を乖離させた響きがかもし出す華やかさ、スケールの大きさというか響きの広がりの原野の中に、これまたエネスコ特有の息の長い旋律でヴァイオリンが彩と綾をを繰り返してゆく「ヘ短調」ソナタの第1楽章などは聴き応えがある。そしてトランクゥイッロの第2楽章の味わい深さなど聴き所が多い。また『ルーマニアの民族様式で』と副題された「イ短調」ソナタの最終楽章の多彩な表現なども、カントロフがフィドル的な音色を見事にコントロールしてピアノと別の素材で構築してゆく音楽表情に表れる色濃いルーマニア風民族色など実に見事だ。(平野昭) |
| |
|
|
 |
「心の深淵から」
J.J.カントロフ(ヴァイオリン)
上田晴子(ピアノ)
R.シュトラウス
ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 変ホ長調 作品18
プロコフィエフ
ヴァイオリンとピアノのためのソナタ へ短調 作品80 |
| |
 |
|
≪紹介記事より≫
室内楽の達人の趣
ジャン・ジャック=カントロフは1945年生まれの仏人バイオリン奏者。60年代には各地の国際コンクールで軒並み優勝か上位入賞、パリ管弦楽団のコンサートマスターを勤めた後ソロに転じた。70年代から頻繁に来日、日本コロムビアに数多くの録音を残しているが、近年は指揮に進出、新譜も途絶えがちだった。
R,シュトラウスの「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」、プロコフィエフの「同第一番」を収めた一枚は昨年、ピアノの上田晴子と共演した日本ツアーの好評を受けて製作された。若いと勢いに任せがち、老大家だと追憶に沈みがちの2曲だが、枯れ果てず慌てずのカントロフの語りくちはは絶妙。出過ぎず引っ込み過ぎずのピアノともども、室内楽の会話の達人の趣がある。(日経新聞・池田卓)
|
 |
| |
推薦
R,シュトラウスの変ホ長調ソナタとプロコフィエフのへ短調ソナタの組合せは珍しいが、ここでは両者の性格が対照されると同時に、演奏家の個性が共通の表現を生み出している。
R,シュトラウスののロマン的な音楽を演奏するのにカントロフの美しい音と緻密な響きはきわめて効果的。上田のピアノは音色が基本的に明るく、2人の共演はとにかく重くなりがちなこの曲から繊細な感情を引き出している。カントロフは明快ですっきりした様式の中に強い意欲を込めて演奏し、しなやかなフレージングでこまかな感情の「ひだ」まではっきりと浮かび上がらせる。また上田のピアノは思い切りがよく、のびやかな感情を十分に生かす一方で、表情を抑えて落ち着いた感情の表現にも不足はない。2人の演奏はR,シュトラウスのロマン的な音楽から洗練された表現によって新しい魅力を引き出している。
プロコフィエフのへ短調ソナタでは、2人のセンスのよさが音楽から魅力を引き出している。第1楽章の冒頭から上田は旋律を重々しく弾きながら決して重苦しくならないし、カントロフは張りのある音で表情豊かに演奏している。彼の解釈はこの曲の重厚な性格を生かしながら豊かな感情を引き出している。プロコフィエフの音楽の本質でもある洗練された感覚を生かした演奏は、ロシアの音楽家では出せない表現をこの曲に与えている。(高橋
昭) |
| |
|
|
|
| Copyright
by Haruko Ueda website. All rights reserved. |
|