やっぱり小さい会場でのコンサートはいい、と思った。
いまさら言わずもがな、ではあるけれど。
小さいライブは私は約1年半ぶり。
5月の大きなコンサートでも随分感動したけれど、なんか小さな会場だと、自分も彼らも、「戻ってきた」という感じがしてしまう。
彼らの本当の初期のライブは私は知らないにもかかわらず。
大きなコンサートは、言ってみればお祭りみたいなものだ。
会場も舞台装置も演出も出演者も、すべて大掛かりなお祭り。
その考え抜かれて工夫されてお金もかかったステージも感動的だけど、出演者は彼ら4人しかいなくて、機材も本当にシンプルな構成の小型のライブというのは、より本質的な世界だと思うし、彼らの実力を痛感することになる。
生演奏のための会場ではないので、PAなんかも決して良くはないにもかかわらず、そんなものは力ずくで解決してしまう。
でも、以前の@LIVEの時よりは、少なくとも音響は良かったのではないか。
会場がいくら大声で歌っても、伍佰さんの声が聴こえなくなるということはなかったから。
5月の「九重天」ツアー以来のライブだったわけだけれども、聴いていて随分新鮮な印象を受けた。
アレンジなどもすごく新しい感じがしたと思ったら、後から「冬之火」CDを聴いて、やっぱり全然違ったと確認した。
たった2晩しかないライブなのに、ほとんどの曲を新しいアレンジに変えてくるというのはさすがだ。
莫文蔚に書いた「幻聽」という曲をやったのだけれど、元々広東語の曲を伍佰さんがこの日のために2日間かけて台湾語の歌詞に書き直したという。
「假扮的天使」も初めて伍佰さんがひとりで歌うのを聴いた。
さすがに、『Vivian~hey!』とは言っていなかった。(笑)
彼らはいつでも、どんなにたくさんファンがいても、その一人一人に応えようとする人たちだ。
今回も、小さい会場とはいえ、600人以上は入っていたわけだけれども、会場のそれぞれの場所にいるファン――前でも後ろでも、彼らから見えていても見えていなくても――に向かって呼びかけてくれて嬉しかった。
そして、ライブの中で、ファンからリクエストを受けた、と言って、病気の男性のファンとその女朋友のために、と、「與女尓到永久」を歌っていた。
アンコールも思ったより随分たくさん長くやってくれた。
自分の熱さと、彼らの熱さが、まさに反応しているのを実感できる。
私たちと彼らとで、そういう幸せを確かに共有できた。
そういうライブだった。
・・・なんて、今回はめずらしく随分冷静に書いている。
実は今回は、行く前にいろいろと忙しかったり、考えることが多すぎたりで、ちょっと感情を遮断しているようなところがあった。
(ということに、行ってから気がついたのだけれど。)
ちょっと自分を追い詰めすぎていたのかもしれない。
そのせいもあってか、随分長い間伍佰さんのCDも実のところ聴けずにいた。
開場1時間前にやっと会場について、最初に@LIVEに行ったときは朝から並んだのにな、と思ったり、今回初めて伍佰さんのステージを見るという人がすごく緊張しているのを見て、自分の緊張感のなさは何なんだと思ったりして、なんだか随分、ライブ慣れしてしまったのかな、と、そういう自分をちょっと残念に思ったりもしたのだけれど、どうもそれだけではなかったようだった。
そんな感じで、感情を遮断した状態でいきなりライブに行ってしまったのだけれど、彼らのライブを聴きながら、少しずつ我に帰っていき、感情が戻ってきた感じがした。
以前は当たり前に聴いていたいくつもの曲の、いくつもの歌詞が、心に深く突き刺さった。
私が最も大切にしたい気持ちを、そして、日常の中でなかなか守ることのできない気持ちを、彼らの音楽は呼び覚まさせてくれるし、だからこそ、私はこんなにも彼らのことが好きになって台湾にも通い詰めてしまったのだということに、改めて気づかされた。
私の「夢」って、何なんだろう。
そう思いながら、私はきっとまた彼らのライブに行くだろう。
(TEXT by 仁美)