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和泉
「戒徒は私に、
お姉様をネクタイで絞めたと
言っていたわ。
でも、自殺の偽装工作のため使われていた紐に、
お姉様が紐を取り除こうとした後があった。
つまり、紐で吊り上げられようとしていた時
お姉さまは、まだ生きておられたということでしょう?
つまり、本当にお姉様を殺したのは・・・!」
只野
「この私、というわけか」
和泉
「!!」
只野
「すばらしい推理力だ。いや、洞察力というべきか」
「・・・・そうだよ、
君の言うとおり、倉橋君を殺したのは私だ」
和泉
「!!
・・・なんで、そんなこと・・・!」
只野
「・・・邪魔だったからに決まっている」
「あの、例の薬品を使った製品を、
世に出したのは私だよ?」
和泉
「!!」
只野
「あの安価な薬品のおかげで、会社は莫大な利益を得、
私も今の地位を築いた。
いくらでも金を使える今の状況を
守るためなら、何でもやるさ」
和泉
「じゃあ、お姉様も・・・!」
只野
「ああ、御影君が手を下すまでもなく、
もともと殺すつもりでいた。
彼女が、すべてを知ってしまったと
気付いていたからね。
だが、あの日、気がつけば、
御影君が犯行に及んでいた。
あの光景を見て、私は、
思わず、笑い出しそうになったよ。
わざわざ私が手を下すまでもなく、
彼が倉橋君を消してくれたのが、嬉しくてね」
和泉
「!!」
只野
「・・・とはいえ、状況としては、最悪だ。
彼が警察に捕まるのは、自分にとっても都合が悪い。
とりあえず、自殺の偽装工作は私がするからと言い
他の人に見られるとまずい御影君を、
早々に社外へ出した」
「そうして、紐を調達し、遺書を偽造し、
会議室に戻ってきて
倉橋君の首に紐をかけたときだった」
「・・・驚いたよ。
死んだと思っていた彼女がうめいたときは。
ただ、気を失っていただけだったんだ」
「だから、私が吊り上げることで、
完全に彼女の息の根を止めたんだ」
和泉
「そんな・・・!
だから、戒徒は自分でやったと思い込んで・・・!」
只野
「ああ、とても都合が良かったよ。
でも、彼が手を出したのは確かだ。
ただ、殺すまでにいたらなかっただけでね」
和泉
「!!」
只野
「・・・・さあ、お嬢さま。
おしゃべりは、ここまでにしましょうか」
(只野、銃を向ける)
和泉
「!!」
只野
「官房長官の娘さんなら、
黙ってくれるかと思ったが
そうではないようなのでね」
和泉
「!!」
只野
「大丈夫、痛いのは一瞬のことだ。
向こうでは由佳里お姉様が待っている。
安心して、死ぬがいい・・・!」
和泉
「!!」
御影
「お嬢様・・・!」
バキューン!(銃声)
和泉
「?!・・・戒徒?!」
(主人公をかばい、右腕に弾を受ける戒徒)
御影
「お嬢様・・・」
只野
「お前!どうしてここに・・・!」
御影
「取調べ中、紐に残っていた血痕の話を聞き
気がついたのです。
由佳里様を殺したのは、私ではなく
本当はあなただったのだと・・・。
それに気付いたとき、もしや
お嬢様もこのことに、気が付くかもしれない。
そうなったら、取り返しが付かないことになる気がして
警察の目を盗み、ここまで参りました・・・」
和泉
「戒徒・・・!」
只野
「アハハハハ!それは、ちょうど良かった!」
御影
「!?」
只野
「私の犯行だと、君に気が付かれても、
警察に言われないためにはどうしたらいいか
考えあぐねていたんだ。
ちょうどいい。ここで、二人一緒に死ねばいいんだ」
御影
「!!」
「(小声で)お嬢様、私が彼の注意をひきます。
どうかその隙にお逃げになってください」
和泉
「?!
・・・そんなことしたら、戒徒が・・・」
御影
「私のことなど、お気になさらず・・・」
和泉
「ダメよ!私のために死ねるというなら
私のために生きて!・・・お願い!」
御影
「お嬢様・・・」
只野
「フフフ・・・、すばらしきは、
互いを思いやる心、というところか?
せっかくだ、その気持ちを尊重して、
心中したことにしてやろう」
御影
「!!」
只野
「死ね!」
ズガーン!
只野
「うわああああああ!!」
御影
「?!」
只野
「私の手が、手が・・・!!」
御影
「銃が・・・暴発した・・・?!」
和泉
「!?」
(一瞬、何が起こったのか、分からなかった。
銃を床に落とし、血だらけになった右手を、
左手でかかえる只野常務の周りを、無数の灰色の影が
取り巻いているのが見えた。
そして、その揺らめく影の中に・・・)
和泉
(お姉様?!)
お姉様
(よかった、無事なようね・・・)
和泉
(まさか・・・お姉様が、助けてくれたの?
・・・どうして・・・
お姉さまに手をかけた戒徒を、
許してくださるというの・・・?)
和泉
(・・・言ったでしょう?
人は恋のために罪を犯すときもある。
だけど、恋は決して罪ではない、と・・・)
和泉
(お姉様・・・!)
お姉様
(・・・私は死んでしまったけれど・・・
それでもあなたの恋は・・・まだ生きている。
どうか、私の分も幸せになってね。
あの世から、見守っているわ・・・)
和泉
(お姉様・・・!)
警察
「警察だ!手を上げろ!そこを動くな!」
和泉
「!?」
(気がつけば、いつの間にか現われた警察によって
周りを取り囲まれ、銃を向けられていた。
戒徒を探してやってきただろう警察も、
さすがに只野常務の状態を見て驚いたようだったが、
私たちの話を聞くと、只野常務を緊急逮捕し、
戒徒を警察に連れていった・・・)
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