インターネット時代の
技術情報調査
  
注目事項のビジネス情報

中国経済の減速、鉱工業生産と不動産価格

トップページ注目事項のビジネス情報中国経済の減速と鉱工業生産の推移 


< このサイトで紹介している「インターネット時代の技術情報調査」の手法を用いて、注目事項に係わるデータを調査し掲載しています。 >

        
後編:中国経済の減速、鉱工業生産と不動産価格
(2012年11月21日)
        ( 11月末に中国株価指数を対比のため追加。 2013年2月~2016年5月の最新データを追加更新。
       2014年5月、不動産価格の全般的下落の可能性が高まり、データを追加するとともに、タイトルを修正。
)


 このページは、「中国経済の減速と電力消費量・鉄道貨物輸送量の推移」の後編です。中国政府が公表 するGDPなどの経済指標には疑念が持たれているようです。前編では、温家宝首相の後継の李克強氏が、嘗て、経済成長を評価する際にGDPではなく、電力消費量、鉄道貨物輸送量、銀行融資の実行という3つの統計を重視すると語ったことを紹介し、GDPの推移と電力消費量、鉄道貨物輸送量の対比を示しました。

 中国は人口の総数も疑われる大国ですから、統計データに誤差があることは想像できます。中国全体の統計は、30余りの地方政府の統計データを集計したものです。地方政府が中央に対し、高い経済成長をしていることを示したいと考えることも想像に難くありません。中央政府も、今回のように10年に一度の指導部の交代時には、景気後退を隠すことはできなくても、控えめに示したいと考えることは想像できるでしょう。
 中国の統計データに、
統計誤差や地方や中央政府の思惑が含まれているとしても、多くは事実に基づくデータを元にしています。多数の統計項目について、長期のトレンドを眺めれば、自ずと実態が見えてくると思います。


 その観点から後編では、中国国家統計局が毎月公表している68項目の鉱工業生産量のデータを紹介します。
  国家統計局の英語版ウェブページで、Total Value Added of the Industrial Enterprises above Designated Size、と示されているもので、毎月の統計データとして、マスコミなどで報じられている値です。所定の規模以上の工業企業から提出された当月データを合計したものと注記されています。その際、それらの工業企業(毎年見直される)に、前年同月のデータも併せて提出させており、両者の比率が対前年同月比になっているようです。そのために、前年の値から計算した前年比とは少し異なることになるようです。

 図-1は全体データを示すものです。朱線で示したGDPと、水色の鉱工業生産指数(Growth Rate of Industrial Value-added)に対比して、発電電力量、鉄道貨物輸送量、および、後述する68項目の鉱工業生産量の増加率の単純平均値を示しています。
 GDPは四半期毎のデータ、その他は毎月のデータで、グラフは
対前年同期比の増加率を示すものです。対比のために示した発電電力量などの3つのグラフは、変動が大きく傾向が分かりづらいため、3ヶ月の移動平均を同色の太線で併記しました。
  
3ヶ月の移動平均グラフは、例えば2月には1月から3月の平均値、3月には2月から4月の平均値を図示しています。 

 同グラフからは、2008年9月のリーマン・ショックによる経済成長の急激な落ち込みと、4兆元と言われる大規模な財政出動によるV字回復が明瞭に分かります。但し、GDPの変化は緩やかで、この辺りが疑念を持たれる所以でしょう。
 また、2012年の後半には、再び、経済成長が落ち込んでいることが読み取れます。


<鉱工業生産量>
 中国の国家統計局の68項目の鉱工業生産量について、データベースに掲載されている対前年同月比の増加率の推移を2004年以降のグラフで示しました。
   前編に記載したように、1月と2月は、その合計の対前年同期比の増加率を示しています。 

 下記のPDFには、全項目について、2011年の生産量と、増加率のグラフを掲載しています。
   統計資料:中国の鉱工業生産の増加率の推移(369KB)

 そのうち、数項目のグラフを以下に示します。各グラフの変動には、リーマン・ショックやユーロ危機のような世界的景気変動に加え、その項目に固有の要因も影響しており、経済は専門外なので、各グラフに対するコメントは控えました。
 
 上記の図-1には、鉱工業生産指数の増加率とともに、
68項目の増加率の単純平均値を併記しています。本来、このような平均値は、生産高などを考慮した重み付き平均とすべきものです。また、68項目の中には、一部に重複している項目もありますが、敢えて、単純平均値を鉱工業生産指数と対比してみました。単純平均値や個別項目のグラフと比較すると、鉱工業生産指数の増加率の変動はかなり抑制されています。











<中国経済は回復か?>
 2012年後半の時点では、中国の経済成長の減速がどの程度深刻で、回復の兆しが見られるかが関心事でした。それを見るため、図-1のグラフの2011年以降を拡大して示しました。



 GDPと鉱工業生産指数の対前年同期比の増加率は、2012年9月ころまで、緩やかに降下しています。それと比較して、発電電力量、鉄道貨物輸送量および鉱工業生産増加率の単純平均値は大きく低下し、2012年5月前後から低迷しています。

 
2012年の9月前後から、データは上昇に転じています。9月に承認された1兆元規模(約12兆円)の公共事業の効果が現れてきたのかもしれません。但し、2012年末のグラフの値は、2012年初めの水準かそれを少し下回る程度です。

 
2013年1月以降、鉱工業生産指数、発電電力量、鉄道貨物輸送量の対前年同月比の増加率は再び低下しています。2013年第1四半期のGDPの成長率も前期よりも低下しました。また、2012年12月から上昇していた中国株式の上海総合指数も、2013年2月から下降に転じています。このページで紹介している全ての統計データが、2013年の初めから、中国経済の成長が減速していることを示しています。

 このページの目的は短期的情報の提供ではありませんが、関心がある方のため、最近3ヶ月間の鉱工業生産量の対前年同月比増加率を示しました。



<2013年1-3月の状況>
 中国経済に関する最近の関心事の一つは、どの程度景気が回復したかであると思います。経済問題は専門ではありません。強いて言うと、エネルギー問題が専門分野です。2013年1-2月の累計値の対前年同期比の増加率をもとに考えてみました。

 鉱工業生産指数の対前年同月比の増加率は、2012年12月が10.3%に対し、2013年1-2月は9.9%と僅かながら低下しました。過去のGDPと鉱工業生産指数のデータが信頼できるものならば、約10%の鉱工業生産指数の増加は、GDPの対前年同期比で7%程度の増加率に相当すると考えられます。従って、もう少し景気が回復すれば、中国政府が2013年の目標としている7.5%のGDP成長率にとどくことになります。

 一方、発電電力量の増加率は、2012年12月が7.6%であったのに対し、2013年1-2月は3.4%に低下しました。また、鉄道貨物輸送量の増加率も、2012年12月が1.3%であったのに対し、2013年1-2月は0%に低下しています。鉄道貨物輸送量は、トン・ベースの合計貨物輸送量の10%程度で、景気の動向をみるのに適当ではないもしれませんが、1-2月の合計貨物輸送量も前年同月比の増加率は低下しています。
 株価の動きについての知見はありませんが、2012年12月頃から上昇に転じていた上海総合指数は、2013年2月以降下降傾向を示しています。中国経済の回復は、2013年に入り足踏みをしているようです。

 電力量とGDPについて、少しデータを紹介します。中国では、エネルギー消費の増加を抑制する政策がとられており、別のウェブ・ページ「中国のCO2排出量はどこまで増加するか」でも紹介しました。環境に対する配慮ではなく、13億人の経済成長に必要なエネルギーの確保が大きな問題になっているためです。習近平主席の就任最初のアフリカ歴訪もその現れの一つであると思います。

 電力量の増加との関係を見るため、先ず、実質GDPの値を求めました。中国国家統計局のデータベースには、四半期ごとの名目GDP値と、前年同期の値を100とした増加率が示されています。それらのデータから、2004年のGDP値を基準とした実質GDP値を求め図-3に示しました。

 図-4には、年間の電力量と実質GDP値の比率を示しました。年間の値で評価すると、ほぼ一定の比率を示しています。
 中国でも、省エネがそれなりに進んだことにより、実質GDP値に対する一次エネルギー・ベースの消費量の比率は低下していると報告されています。しかし、電力量の比率は低下していないようです。
 実質GDPに対する電力量の比率が、ほぼ一定であることから、電力量と実質GDP値は比例関係になっていることが分かります。電力量の増加率と実質GDPの増加率は、ほぼ同じになるということです。
 
 2013年1-2月の電力量の対前年同期比の増加率は、3.4%であったことを前述しました。今期のGDPの実質的な増加率は、電力量の増加率と同程度と考えられます。そうであるなら、2013年のGDPの成長目標の 7.5%に比べ、かなり低い状況にあるということになります。
 1-2月は産業活動に影響を及ぼす春節を含む特別な月です。慎重を期するなら、3月の経済統計の発表を注視する必要があると思います。

2013年4月記載
 4月15日に発表された2013年第1四半期のGDPの対前年同期比の成長率は、市場での予想の8.0%に反し、7.7%でした。2012年第4四半期の7.9%から成長率が低下しました。
 鉱工業生産指数の対前年同月比の増加率は、1-2月の9.9%から3月の8.9%へと低下しました。また、発電電力量の対前年同月比の増加率も、1-2月の3.4%から3月の2.1%へと低下し、鉄道貨物輸送量も1-2月の0%から、3月の-2.4%に低下しました。

 2013年の年明けからの経済成長の減速が明確になってきた
と言えると思います。今後は、経済成長の減速がどれだけ持続し、どこまで低下するかが問題になるように思います。
  
 図-1に示したGDPと鉱工業生産指数を取り出して、縦軸を少し拡大して図-5に再掲しました。鉱工業生産指数の対前年同月比の増加率は、オレンジ色の太い直線で示したように、
リーマンショック以前は17%前後2010年後半頃からは14%前後2012年後半からは10%前後へと低下しています。中長期的に鉱工業生産の成長率は確実に低下しているように見えます。低下傾向が、更に続くのかが注視すべき事項であると思います。



2013年5月記載
 
図-2に示したように、4月の鉱工業生産指数、発電電力量の対前年同月比の増加率は、何れも、3月より増加しています。また、株価の上海総合指数も増加しています。一方、鉄道貨物輸送量の対前年同月比はマイナスが更に拡大しました。2013年1-3月の減少傾向から、多少好転しているのかもしれません。但し、リーマン・ショック以前や、リーマン・ショック後のV回復直後に比べると、低い経済成長の水準で上下していることが図-5から分かります。
 
 ところで、5月23日の日本の株価の急落は、中国の経済指標の悪化を契機にしたものと報じられました。具体的には、製造業購買担当者景気指数者(China's manufacturing managers index、略称は製造業PMI)の低下で、それについて紹介します。
 製造業PMIは、製造業の購買担当者へのアンケート調査をもとにした指標で、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退を示唆すると考えられている景気転換の先行指標です。中国のPMIには、国家統計局の値と、HSBCの値があります。図-6には、中国の国家統計局発表の製造業PMIの推移を示しました。
 HSBCは世界的金融グループです。その中国部門の調査結果であるHSBCの製造業PMIの推移は、国家統計局のものと、類似の傾向を示していますが、全般的に1~2ポイント低い傾向があるようです。調査対象の企業が異なるためだと思います。また、HSBCの製造業PMIは、国家統計局より先行して発表されています。
 5月23日にHSBCが発表した季節調整済みの製造業PMI速報値は49.6でした。4月の確定値50.4から低下しており、また、50を下回ったのは2012年10月以来と報じられています。このような中国の経済指標の変化が、日本の株価急落の契機になったと考えられているようです。

 鉱工業生産指数、発電電力量、鉄道貨物輸送量および製造業PMIの変化を紹介しましたが、何れも、低い経済成長の範囲で上下していると言えると思います。

2013年6月記載
 4月と比較して、対前年同月比の5月の増加率は、 鉱工業生産指数は9.3%から9.2%へ、電力量は6.2%から4.1%へと低下しました。また、鉄道貨物輸送量は4月、5月ともに-6.5%です。
 上記5月記載の項で紹介した製造業PMIの5月と6月の値は、HSBC発表の値は49.2から48.3へ低下し、国家統計局発表の値は50.8から50.1へ低下しました。このウェブ・ページで紹介している経済指標は全て低下しており、中国経済回復の兆しは見られないようです。
 図-5に示した鉱工業生産指数で、2012年半ば以降の低水準が、今後の中国の経済成長の水準と考えるべきかもしれません。
 GDPの対前年同期比の成長率は、2012年の第2四半期以降、7%台で推移していますが、7月半ばに発表される第2四半期のGDPの成長率が注目されるところです。

2013年7月記載
 第2四半期のGDPが発表され、対前年同期比の成長率は7.5%で、第1四半期の7.7%より低下しました。鉱工業生産指数の対前年同月比の増加率も、5月の9.2%から6月の8.9%へ低下しました。
 なお、電力量の対前年同月比の増加率は5月の4.1%から6月の6.0%へ増加し、鉄道貨物輸送量も5月の-6.5%から6月の-0.7%に増加していますが、経済成長が低水準であることに変わりありません。

 中国経済に対する関心は、経済成長の回復よりも、中国社会が抱える多くの問題により、経済が深刻な状況に陥る懸念に移ったようです。特に、関心が高まったのはシャドウバンキングの問題です。
 シャドウバンキングによる資金の多くは、不動産開発投資に使われていると言われます。今月は、中国の不動産開発投資について調べてみました。

 図-7には、中国GDPの支出種類による構成比率の推移を示しました。国連のデータベースUNdataからとったものです。リーマン・ショックにより2008年年頃から、民間最終消費支出と、輸出・輸入の差額の構成比率が減少し、総固定資産形成の比率が増加しています。大規模財政出動により、不動産開発投資が増加した結果です。


 図-8には、中国国統計局のデータで、不動産開発投資額の推移を示しました。住宅、オフィス・ビル、商業ビル、その他、の4つに分けて公表されており、住宅関係が不動産開発投資額全体の70%前後を占めています。

 図-9には同じデータを用いて、不動産開発投資額の対前年同月比の増加率の推移を示しました。投資額合計と住宅は、同じような傾向を示しています。リーマン・ショックによる不動産開発投資の落ち込みと、大規模な経済対策による不動産投資の拡大が見てとれます。
 
中国国家統計局のデータは、年初からの累計額が毎月報告されています。その値の対前年同月比と、算出した毎月の投資額の対前年同月比の両者を求めましたが、後者は変動が大きく分かりづらいため、図-9は前者の値です。

 その後、不動産バブルの様相が現れたため、2009年末ころから抑制策がとられました。2011年に入り不動産投資の増加率は低下傾向を示しており、2012年の半ばには低水準になっています。
 2012年には経済成長の低下が明確になり、金融緩和政策がとられたことで、2013年初めに掛けて、再び不動産投資が増加しました。2013年3月には、再び不動産市場の抑制政策が出されています。


 図-10~図-13には、中国70都市の住宅販売価格の推移を示しました。中国国家統計局が毎月発表しているデータです。
 住宅販売価格の上昇は、2009年頃が顕著であったようですが、参照したデータベースは2011年以降のデータであり、最近の住宅販売価格の動向と理解して下さい。
 2011年から2012年にかけて、全般に住宅販売価格は概ね横ばいで、価格の低下も見られます。但し、図-10の杭州や寧波、図-12の温州のように、価格低下が著しい例もあります。
 
 上述の不動産開発投資と同様に、2012年末ころから、住宅価格の上昇が始まっています。都市部の住宅需要は高いと言われています。









2013年8月記載
 鉱工業生産指数、電力量、鉄道貨物輸送量、および株価の上海総合指数の7月実績を追加しました。対前年同月比の増加率は、鉱工業生産指数は6月の8.9%に対し7月が9.7%、電力量は6月の6%に対し7月は8.1%、鉄道貨物輸送量は6月の-0.7%に対し7月の4.7%と、いづれも増加しました。但し、図-5に示すように低い水準での増加です。
 図-6の国家統計局発表の製造業PMIに、2012年以降のHSBCの値(5月記載参照)を併記しました。6月は48.2、7月は47.7と低い値です。
 図-9の不動産開発投資額に7月実績を追加しました。不動産開発投資額合計の対前年同月比の増加率は、6月の20.3%に対し、7月は20.5%と僅かに増加しています。

2013年9月記載
 8月のデータからは、景気の回復が窺われます。但し、図-5に示すように、この1年余りの低い経済成長水準の範囲内でのことです。
 景気浮揚のために不動産市場の規制を緩和すると、住宅価格の上昇が避け難いようです。経済成長と住宅価格の両者の推移を注視する必要があるように思われます。

2013年10-11月記載
 GDPの対前年同期比の増加率は、第2四半期の7.5%から、7月から9月の第3四半期の速報値は7.7%に増加しました。その他、対前年同期比の増加率で、鉱工業生産指数は8月の10.4%に対し9月は10.2%、発電電力量は8月の13.4%に対し9月は8.2%、鉄道貨物輸送量は8月の8.1%に対し9月は9.0%でした。景気の回復は顕著ではありません。図-10~図-13に示した新築住宅の販売価格は、相変わらず上昇を続けています。
 10月の経済指標の対前年同期比の増加率は9月と概ね同水準です。

2013年12月記載
 掲載している多くの経済指標について、11月の対前年同月比の増加率は、10月に比べて少しだけ低下しています。しかし、経済指標の変化は小さいため、暫く、コメントは省略し、データの追加更新のみとしようと思います。

2014年4月記載
 年初来、中国の経済成長の減速が指摘されています。2014年第1四半期GDPの対前年同期比成長率は7.4%に低下しました。固定資産投資、不動産開発投資の増加抑制が、経済成長の減速に繋がっているようです。

2014年5月記載
 4月の新築住宅販売価格指数は注目すべき値です。 図-10~13からは、販売価格が殆ど上昇しなくなっていることが分かります。
 図-14に、対前年同月比の増加率と、対前月比の増加率について、表示している70都市の単純平均値の推移を示しました。4月の対前年同月比の増加率は6.4%です。しかし、対前月比の増加率は、2月が0.27%、3月が0.22%、4月が0.06%と確実に低下し、最早、殆ど増加していません。
 図-10~13に示されるように、過去にも販売価格が横這いの時期はありましたが、顕著に販売価格が低下した都市は限られていました。この先、中国政府の政策により、販売価格が横這いに維持されるのか、更に下落するのかを注視する必要があります。


2014年6-7月記載
 上記の図-14で、6月の新築住宅販売指数の対前月比の増加率は、マイナス0.5%になり、下落率は拡大しています。また、図-9に示す不動産開発投資額の増加率は、2012年の落ち込み時の値を下回りました。この状態がいつまで続くかと、鉱工業生産指数の増加率の低下やシャドーバンキングの破綻など、他の経済状況に波及しないかを注視すべきです。

2014年9月記載
 8月の鉱工業生産指数の対前年同月比の増加率は6.9%、発電電力量の増加率はマイナス2.2%と著しく低下しました。
このウェブページに掲載していないものを含め、多くの経済指標が景気の後退を示しており、異変を示すもののように思われます。
 不動産価格や不動産市場増加率の低下を反映したものかもしれません。図-14で主要70都市の新築住宅販売価格指数の平均値で、対前月比増加率はマイナス1.1%となりました。この状況が続けば、新築住宅を投資目的で1年間所有していると、価値が10%以上目減りしてしまうということです。

 中国政府は、ニューノーマルという言葉を用いて、安定成長へ移行する過程であると説明しています。多くのエコノミストは、経済危機に繋がる可能性は低いと述べています。しかし、問題が起きるまでは、何時もそのようなものです。今後の成り行きを注視する必要があると思います。


2014年10月記載
 GDPの対前年同期比の増加率は、第1四半期が7.4%、第2四半期が7.5%であったのに対し、第3四半期は7.3%でした。図-9に示す不動産開発投資額の増加率も低下しています。図-10~13の新築住宅販売価格指数も低下を続けています。図-14に示す、それらの増加率の70都市の平均値は、対前月比がマイナス1%、前年同月比も遂にマイナスになりました。多方の予測ほどではないまでも、経済指標は確実に低下しています。

2014年11月記載
 新築住宅販売価格指数の低下が続いています。図-14に示す主要70都市の平均値も、対前月比増加率が本年5月以降6ヶ月間マイナスが続いています。
 図-9に示す不動産開発投資額の対前年同月比の増加率も下落を続けています。図-9は年初から当月までの累積値の増加率ですから、当月値の増加率はもっと落ち込んでいます。図-8に示した年次の不動産開発投資額に対応する月次額の推移を図-15に示しました。最近の値は、前年と比べて、増加が低下していることが分かると思います。不動産開発は、地方政府の主要な収入源になっており、その低下は中国経済に大きな影響を及ぼすものと思われます。



 注意)投資や業務等の目的から、本ウェブページで紹介した事項に関心を持つ方は、中国国家統計局のウェブサイトにアクセスし、ご自身で統計データを確認し、判断して下さい。上述の文章・情報により被ったいかなる被害に対しても、当方は一切責任を負いません。


続編として、下記を掲載しました。
  韓国経済の減速とGDP・鉱工業生産指数の推移